わずか2か月で450円値上がり…トマトが“経験したことない”高値に 異例の暑さで不良相次ぎ 生産者も「もう限界」

スーパーの店頭で日々、頭を悩ませている方も多いかと思います。「トマト」の1kg当たりの小売り価格は、8月上旬は700円程度でしたが、10月第1週になると1,150円。450円も値上がりしています。トマトはわたしたちが「経験したことがないほどの」高値に。生産者も頭を悩ませています。

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静岡市葵区のお好み焼き店です。

<SEIDAI 前田佳樹店長>
「こちら当店名物のトマトのお好み焼きになります。1人前にひとつのトマトを使用していて、お好み焼きにトマトのソースをかけています」

店の看板メニューは、トマト1個を丸々使った「トマトのお好み焼き」。焼いたトマトの甘さがくせになると人気です。この看板メニューが危機を迎えています。

<SEIDAI 前田佳樹店長>
「店を始めた1年前と比べると、倍とまでは言わないが(1個あたり)1.5倍ぐらいの価格になっている。トマトの高騰が今後も続くと厳しくなってくる」

この店では多い時は1週間で、100個トマトを使います。以前は、特定の業者から仕入れていましたが、最近では安くて質のよいトマトを求めて店長自ら青果店に足を運ぶそうです。

静岡市内のスーパーを見てみると…。

<田子重 西中原店 天野克彦副店長>
「9月、10月は高値が続いています。パックのトマトですと3個入りで、以前は298円だったものが、いまは498円と高い値段になってしまっています」

トマト1kg当たりの小売価格の全国平均は、8月上旬には700円ほどでしたが、先週になると1150円に。2か月で450円も値上がりしています。この状況に買い物客も工夫を重ねています。

<買い物客>
「すごく高くなったと思います。自分の家族に合った量を残さない量で選ぶとか。とにかく1人当たりの量を減らす」
「(値上がり以前は)これと普通のサイズを両方買うとかしていましたけど、そうすると傷みが早くなっちゃったりとかもあるので、いまは無駄な買い方はしなくなりました」

価格高騰の原因となっているのが、つい先日まで続いた“異例の暑さ”です。焼津市で50年以上続く「増田トマト農園」を訪ねると・・・。

<増田トマト農園 増田英樹さん>
「これは尻腐れ果といって、気温が暑過ぎて肥料を吸えなくなる。黒くなったり凹んだりして商品にならない。(例年と比べた収穫量は)6~7割くらい。正品になるものがすごく少ないので」

トマトは、気温が35度以上になると成長が止まってしまうそうです。さらに、せっかく実った果実も暑さが続けば、割れてしまったり、大きく育たないまま熟してしまったりと不良が発生します。

<増田トマト農園 増田英樹さん>
「7月、8月、9月の積み重ねで、いまのトマトはできているので、いまちょっと涼しくなっても、この実が変わるわけじゃない。これだけ暑いのが続くともう限界かなって思っていますね」

このトマトの高騰、いつまで続くのか。JA静岡経済連の藤原健裕部次長に聞いたところ、11月中旬ごろには、価格が落ち着くのではないかということです。

トマトは花や実がつく際に暑さの影響を受けやすいそうで、ようやく涼しくなってきたことで、これからできるトマトは影響を受けず、出荷量も回復し、秋も深まる11月中旬ごろには、手にしやすい値段になりそうです。

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