【大好きな馬に関わる仕事】厩務員について

競馬の世界では騎手や調教師だけでなく、馬の身の回りを整える「厩務員」が馬の生活を支えています。今回の記事では、この厩務員さんについて大まかな仕事内容や資格は必要かどうかなどを紹介します。

主な仕事内容

乗馬をしていれば「厩務」の内容は何となく想像がつくかもしれませんが、まずは競馬の世界で厩務員さんたちがどのような仕事をしているのか見てみましょう。

馬・馬房の清潔保持

乗馬に通っているみなさんも、レッスン前に馬房掃除をすることがあると思います。馬体や馬房の清潔保持は馬の健康にも直結するため、とても大切。

馬のブラッシングや蹄の手入れをしたり、馬房のボロを片づけたり、オガを新しいものに換えるなどの作業をします。

飼料の調整・管理

馬は数種類の穀物やキューブ(乾草をブロック状に固めたもの)などをブレンドした飼料を食べています。

ブレンドの内容は、同じ馬であっても体重・健康状態・時期などにより定期的に見直しが必要。これを調整・管理するのも厩務員の仕事の一つです。

馬の健康管理

馬体のケアで皮膚・蹄の様子や身体の動きなどを確認し、馬房掃除をしているあいだに排泄物を確認するなど、世話は健康管理を兼ねています

飼料に関しても、体調や時期に合わせた内容で馬の健康を保つほか、食べ残しや食事の様子からも体調の変化に気付くことがあるかもしれません。

必要なケアを行うと同時に、体調を調教師に伝えてメニュー調整の参考にしたり、必要に応じて獣医に診察を依頼したりなどの連携も厩務員の仕事です。

軽度の運動

競馬の世界では、馬を運動させるのは主に調教師です。しかし、その運動のウォーミングアップや運動後のクールダウンでは厩務員が曳き馬や軽い運動を行うこともあります。

また、記事の後半で触れる「調教厩務員」の有資格者であれば調教師のように本格的な運動をすることも可能です。

向いているのはどんな人?

厩務員の仕事内容については、大体イメージが付いたでしょうか?次に「厩務員に向いている人」はどのような人なのか見てみましょう。

時間管理ができる人

どんな仕事にも時間を守る・スケジュール管理ができるということは大切ですが、特に厩務員の仕事は時間管理が重要。朝が早いだけでなく多職種とのスケジュール調整・複数の馬のスケジュール管理などが必要になります。

調整や管理のノウハウは仕事を始めてから身に付いていくものですが、もともと時間やタスクの管理が得意な人なら慣れるのも早いはずです。

健康・体力に自信がある人

動物相手の仕事なので拘束時間が比較的長く、人間の都合で急に休むわけにもいきません。また、気候の影響を受けやすい場面もあり、力仕事なども多いでしょう。

もちろん仕事を覚えるあいだに体力もだんだんと付いてくるはずなので、持病や運動制限がある方などを除いて、そこまで神経質になる必要はないと考えられます。しかし、健康や体力に自信があれば安心ですね。

観察力のある人

厩務員の業務では、馬の世話や環境整備を手早くこなす中で馬の小さな変化に気づくことが大切です。そのため「なにか普段と違うぞ」という些細な違いを見逃さない観察眼がある人は厩務員に向いているといえるでしょう。

乗馬経験のある人

馬術と競馬ではいろいろと違うこともあります。また、厩務員は馬に騎乗する機会も少ないでしょう。しかし、基本的な馬の扱いなどが分かっていれば厩務員としての業務に役立ちます。

乗馬を経験していないと厩務員の業務に就けないとは限りませんが、多くの厩舎では乗馬経験の有無は採用時に条件となる可能性があります。

競馬が好きな人は要注意?

競馬の世界で働く人には、馬や競馬が好きな人が多いはず。ですが、競馬を見るのが大好きだから、いっそ競馬の世界に入って働きたい!という場合は少し注意が必要です。

なぜなら、厩務員になると自分が関わっている団体の勝ち馬投票券(=馬券)の購入が法的に禁止されてしまうから。

例えば、厩務員だけでなく調教師や騎手を含めた日本中央競馬会(JRA)の職員は、JRAが主催しているレースやJRAが馬券を発売する海外レースの馬券を買うことができないそうですよ。

資格は必要?

ここまで読んで、厩務員の仕事を「やってみたい!」と感じた人もいれば「かなり大変そう…」と不安になった人もいると思います。

体力が必要なだけでなくいろいろな知識も必要になりそうですが、こうした業務をこなすには何か資格が必要なのでしょうか?

法的に定められた資格はない

厩務員の業務に就くために、特別な資格は必要ありません。ただし、所属する厩舎ごとに採用条件が決められている場合があります。

例えば、中央競馬の厩舎に厩務員として就職するには「競馬学校で厩務員過程を履修すること」が条件となっています。

「調教厩務員」とは?

記事の前半で「厩務員は軽い運動のみさせることができる」とお伝えしましたが、調教厩務員の資格を持っている場合は調教師のように調教用のコースで担当馬を運動させることができます。

厩務員が調教を行うメリットは、本来であれば調教師と厩務員のあいだで行う情報やスケジュールの共有・調整の手間が省けることです。

しかし、調教師と厩務員が意見をすりあわせることなく一人で判断をすることになるため、一般的な厩務員以上に責任は重大です。

まとめ

厩務員は、馬房の環境を整え、馬の日常生活を支える職業です。馬以外にも、騎手や調教師などとやり取りをしてメニュー調整などにもかかわることができるため、とてもやりがいのある仕事といえそうです。
法的に定められた資格はないため、採用条件は就職予定の厩舎ごとに異なります。興味のある方は、ぜひ厩務員の募集を探して情報をチェックしてみましょう!

© 株式会社ワールドマーケット