豊洲市場開場から5年

豊洲市場が開場して10月11日で5年です。周辺施設の建設も進む一方、消費者の魚離れなど課題もあるなか、5年目を迎えた市場関係者の声や豊洲市場の取り組みなどを取材しました。

記者:「午前8時の豊洲市場前に来ています。こちらでは忙しく働く市場関係者の姿や、せりの様子を見に来た観光客などの姿も見られます」

開場から5年となった10月11日、豊洲市場付近では、いつも通りあわただしく働く市場関係者の姿がありました。

魚を仕入れに来た人:「みんな使いづらいつってたけど、だいぶ慣れてきた感じだよね。(買い付けは)海外の方が大きいんじゃないかな国内より。豊洲市場らしく、今また市場の雰囲気が戻ってきてるからいいんじゃないかな」
マグロ仲買人:「クーラーが聞いてるから夏は汗かかない(のが良い)。築地の時は汗だっくだくでやってたんだけど、今はそういうことないからね、逆に寒いくらいだよ。交通の便がもっと良くなるとね、やっぱ違うんだろうけど、もうしょうがないでしょ。でもこれもうできちゃってるんだから」

それぞれ思いはありつつも、豊洲市場での仕事には少しづつ慣れてきたと話します。

2018年、旧築地市場に代わる新たな「日本の台所」として誕生した豊洲市場。海産物の鮮度を保つため、周囲を壁で覆った閉鎖型の施設となり、衛生面や環境面などにも配慮した首都圏の「食の物流拠点」として整備されました。

あれから5年。豊洲市場によりますと、コロナ禍で落ち込んだ来場者数も今年に入り、インバウンド観光客の増加で復調傾向だといいます。

しかしその一方で、消費者の魚離れなどから水産物の取扱量は年々減少していて、去年は約30万トンとなり、2009年から24万トン減っています。さらに、今年8月から福島第一原発処理水の海洋放出が始まったことで、中国など一部の国が日本産水産物の輸入を停止するなど、今後の取引量への影響も懸念されています。

そんな中、海産物の魅力をより多くの人に知ってもらうための新たな取り組みが…。先週、都民に向けて初めて開催された「水産中卸売場体験会」。抽選で選ばれた都内在住の親子42人が、普段は関係者しか入れない売場内を見学しました。

体験会では、見学に参加した子供たちが、魚のさばかれる様子や冷凍されたマグロを興味津々で観察する姿が見られました。

参加した親子:「旧Twitterで知りました」「太刀魚とかの輝きとかがピカピカしててすごいなって思いました」「すごい面白かったです。魚がすごいきれいだったよね?」「いろいろ魚があって、食べてみたいなって思いました」

企画担当者は、若い世代に海産物に興味を持って貰うことで、将来の消費拡大につなげたいとしています。

企画者:「魚離れって言う話がある中で、お子さんに是非魚に興味を持ってもらって食べて頂く。(今後は)見て頂くだけじゃなくて、豊洲で魚を食べて頂くっていう体験も是非やりたいと思っています」

多くの成果と課題を抱えながら5年目を迎えた豊洲市場。来年2月には、市場に隣接した複合商業施設「豊洲 千客万来」がオープンをする予定で次の5年に向け、今後が注目されています。

豊洲市場にとっては様々な困難を乗り越えてきた5年となりました。これまでの歩みを振り返ります。

豊洲市場が産声をあげたのは、5年前の2018年10月。敷地の地下水から検出された有害物質の対策工事などで、2年遅れてのスタートとなりました。待ち望んでいた開場に豊洲の街全体が盛り上がりを見せる中、2020年、新型コロナウイルスの流行が始まります。

名物でもあるマグロ競りの見学が中止となったほか、にぎわい創出施設として2023年に開業予定だった千客万来施設も、新型コロナを理由に開業が延期となりました。

そして今年5月、新型コロナが感染症法上の5類へ移行され、市場にも賑わいが戻りつつある中で行われたのが、福島第一原発処理水の放出でした。豊洲市場の関係者によると、一部の海産物の輸出などに影響が出ている状況だということです。

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