セントラル空調機器の新晃工業 長崎にシステム開発拠点 立地協定を県、市と締結

立地協定を結んだ(左から)大石知事、末永社長、青田副社長、鈴木市長=県庁

 セントラル空調機器の製造・販売で国内トップシェアを誇る新晃工業(大阪市、末永聡社長)は11日、長崎市内に新設するシステム開発拠点「SINKOシステム開発センター長崎ベース(仮称)」の立地協定を県、同市と結んだ。2026年4月に事業開始予定で、5年間で17人の雇用を計画する。
 同社は大規模建物に導入する空調機器の製造・販売を手がけ、県内では県庁舎、同市庁舎、出島メッセ長崎などに納入実績がある。岡山と神奈川の2カ所に工場を有するが、今後の人手不足を見据え、デジタルトランスフォーメーション(DX)による生産方式の転換を進めている。
 長崎ベースでは、こうした次世代の生産方式を確立するための基幹システムの開発を、既存の開発拠点と連携して担う。首都圏、近畿圏でのIT人材不足を補う地方の開発拠点として、DXを加速させる狙い。既に来春の新卒社員として、県内大学から3人を内定した。
 県庁で末永社長、大石賢吾知事、鈴木史朗市長が協定書に調印。大石知事は「本県の情報系人材に価値を見いだし、雇用の受け皿となる拠点をつくってもらえることに感謝したい」と述べた。

◎インタビュー 末永社長・青田副社長 優秀な人材確保に期待

 新晃工業の末永聡社長、青田徳治副社長に、長崎市進出の狙いや今後の展望について聞いた。
 -システム開発拠点を新設する狙いは。
 当社の製品は、基本的にオーダーメード。一つ一つ図面を引き、部品を作ってきた。しかし、この方式では売り上げに限界があり、今後ますます加速する人手不足にも対応できない。そこで最新のデジタル技術により、従来の作業をできる限り自動化し、新たな製造、販売体制の構築に乗り出した。設計、製造、営業、アフターサービスの四つのフェーズでシステム開発を進めている。開発拠点は現在、本社を含む3カ所にあるが、IT人材の獲得競争が激しい。優秀なIT人材の採用が見込める長崎市に目を付けた。
 -長崎の拠点の体制は。
 他の拠点と連携して開発を進めることになるが、開設後5年間で17人の体制は本社拠点に次ぐ規模。県内には情報系の学部学科を有する大学があり、優秀な人材確保ができると期待している。来春卒業予定の県内学生を面接したが、非常に優秀で3人を内定した。今後も年間3人のペースで採用する計画だ。
 -製造拠点立地の可能性は。
 九州に製造拠点を置く場合に長崎が有力な候補地となることは間違いない。システム開発のエンジニアにとっても、製造拠点が近いことはメリットになる。

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