アストンマーティンのLMHプログラム再開をLMDhメーカー各社が歓迎「多ければ多いほど良い」

 アストンマーティンが市販ハイパーカーの『ヴァルキリー』をベースとしたル・マン・ハイパーカー(LMH)のプログラムを再始動させることを受け、LMDhメーカーの4社はSportscar365の取材に対し「多ければ多いほど良い」と好意的な反応を示した。

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とWEC世界耐久選手権の両シリーズに参戦しているポルシェとキャデラック、さらに現在は北米シリーズだけコミットに留まるアキュラ、BMWの首脳たちは、先日イギリスの老舗スポーツカーがパートナーチームのザ・ハート・オブ・レーシングとともに、2025年のWECおよびウェザーテック選手権に参戦するという発表に賛同のコメントを述べた。

■ランボルギーニの登場も「非常に楽しみ」

「とても興奮している」と語ったのは、ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)社長のデビッド・ソルターズだ。

「多ければ多いほど良い。繰り返し主張するが、これはエンターテインメントだ。我々のブランドを宣伝し、エンジニアを育成し、もっとも重要なことは来てくれるファンを楽しませ、エキサイティングなものを提供することだ。だからクルマが増えれば、注目度の高いメーカーが増えれば、間違いなくその助けになる。この(アストンマーティンの)発表も、来年ランボルギーニがやって来ることも非常に楽しみだ」

 ソルターズは、アストンマーティンがLMHマシンをIMSAウエザーテック選手権のGTPクラスで走らせることを決定したことは、関係者が目指してきたル・マン・ハイパーカー(LMH)とLMDhの融合の核心だと付け加える。

「そのために我々は数年間、何時間ものミーティングを重ね、これを実現させようとしてきたんだ。正しい方向に進んでいると思う。これこそが我々が求めていることなんだ」

 ここで注目すべきは、WECでは2023年からLMHとLMDhのマシンが混走しているのに対し、IMSAのトップカテゴリーが今のところLMDhマシンのみで構成されている点だ。ポルシェのLMDhファクトリーディレクターであるウルス・クラトルは、ヴァルキリーがウェザーテック選手権に登場する前に、LMDhとLMHの正確なバランスについて「疑問は晴らされなければならない」とコメントした。

「デビッド(・ソルターズ)が言うように、メーカーは多ければ多いほど良いね。ファンやショーのためにやっているのだから」

「ひとつ明確にしておかなければならないことはあるが、私はLMHとLMDhを交わらせようとしている人たちがいることを知っている。これについては回答を得なければならない疑問がたくさんあるが、私が言ったように人々はそれに取り組んでいるし、解決策を見つけることに自信を持っている」

2024年のWECハイパーカークラスとIMSA GTPクラスに投入される新型LMDhカー、ランボルギーニSC63

■「今が全盛期」とGM首脳

 ゼネラルモーターズ(GM)・モータースポーツのコンペティション・エンジニアリング・ディレクターを務めるマーク・スティローは、新しいメーカーの登場をめぐる話題が、1980年代から90年代にかけてのGTP時代のイメージを呼び起こすと語った。

「当時、私は幸運にもキャリアの初期にGTPに参加することができたんだ」

「今、より多くのOEM(メーカー)が参入し、プレスの人々を通じて物事を見ていると、誰もがこのことに興奮しているように思えるね。彼らは新車を見たがっている。彼らは、私たちつまりOEMが互いにぶつかり合いレースをする姿が見たいんだよ」

「そしてレースは素晴らしい。マシンは耐久性があり、お互いに競争力があることが証明されている。とてもエキサイティングなレースだね」

「今は全盛期だ。耐久レースにふたたび参加するのは楽しいことだよ」

 自身の意見を求められたBMWのLMDhプロジェクト・リーダーのマウリツィオ・レスキウッタは、他の関係者の発言に「付け加えることは何もない」と断言し、彼もまたアストンマーティンの計画を支持することを表明している。

アストンマーティンがLMHプロジェクトの再始動をアナウンス。ヴァルキリーでの2025年WEC&IMSA参戦を計画している
手前から10号車アキュラARX-06、5号車ポルシェ963、31号車キャデラックVシリーズ.R 2023年IMSA第8戦ロード・アメリカ
2台体制でIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の“最高峰”GTPクラスに参戦しているBMW MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)

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