展示のない芸術祭、和歌山県で 14日から「紀南アートウイーク」、体験通じて感覚刺激

触覚を通して彫刻と対話するワークショップ(写真はイメージ、紀南アートウイーク実行委員会提供)

 芸術祭「紀南アートウイーク2023」(実行委員会主催、紀伊民報など後援)が14日から和歌山県紀南地方各地で始まる。テーマは、「みかん」(ミカンや未完)と「かんかく」(感覚や間隔)を合わせた造語「みかんかく」。鑑賞する「展覧会」ではなく、さまざまな体験を通じ、視覚以外にも嗅覚や味覚、触覚、時間感覚を刺激する。

 14、15の両日は目の見えない人がどうやってアートを鑑賞しているのかを描いたドキュメンタリー映画2本の上映会がある。

 「目の見えない白鳥さん、アートを見にいく」(107分)は、全盲の白鳥さんの20年にわたる美術鑑賞を振り返り、周囲の友人や美術館関係者との会話を追っている。「手でふれてみる世界」(60分)は、イタリアで見える人も見えない人も、ともに美術作品に手で触れて鑑賞できる美術館を設立した夫婦に迫る。

 会場はJR白浜駅前のノンクロン(白浜町堅田)。上映は「白鳥」が午前10時、午後1時半、6時。「手で」は正午、午後3時半、8時(14日のみ)。チケットは千~1600円。

 19日にはJR紀伊田辺駅前の田辺エンプラス(田辺市湊)で「手でふれてみる世界」の上映会と岡野晃子監督とのワークショップ、トークイベントがある。ワークショップでは触覚を通じ、彫刻と対話し、見えてくる世界を参加者で自由に表現する。時間は午後6時半~9時。参加費は千円(映画鑑賞のみ)~3千円。

 嗅覚や味覚も刺激するのが、15日にあるワークショップ「インドのスパイス、ベトナムのハーブ、和歌山のミカンでチャイをつくろう」。講師はベトナムの芸術家トゥアン・マミさんとインドのチャイに関するアートプロジェクトを手がけるラワンチャイクン茉莉さん。インドのお茶文化や、ハーブとともにあるベトナムの食生活の話なども聞ける。田辺市湊のカフェ・バー「the CUE(ザ・キュー)」で午後1時~3時。参加費1人1500円。

 22日まで他にもさまざまなワークショップがある。

 各イベントの事前申し込みはチケット予約サイト「Peatix(ピーティックス)」で。問い合わせは紀南アートウイーク実行委員会(090.3710.3866)へ。

スパイスやハーブを使うワークショップ(写真はイメージ、紀南アートウイーク実行委員会提供)

© 株式会社紀伊民報