放送 全国大会で好結果を残した川野優華(別府鶴見丘3年) 【大分県】

幼い頃から声優に憧れ、高校では放送部へ入部した別府鶴見丘高校放送部の川野優華(3年)。「人気職業である声優は狭き門。高校で基礎を学べば、将来に役立てられるのではないかと思った」と、期待に胸膨らませ入部した当時を振り返る。放送部では朗読を専攻。発声の基礎から地道に学び、1年時に出場した「第68回NHK杯全国高校放送コンテスト大分県大会」では、初出場にもかかわらず決勝の舞台まで勝ち上がった。審査員からの講評で「これからもっとうまくなる」と太鼓判を押されたが、その後の大会では納得のいく成績を残せなかった。

全国の舞台を目標としながらも、県大会決勝の壁を越えられずに自問自答の日々を送った。苦しい時期もあったが部活動を通して、「自分の心のあり方に大きな変化があった」と川野は言う。「自分の気持ちをストレートに表現するタイプだったが、仲間たちと一緒に目標に向かう中でみんなの意見を聞き、協調性を身に付けることができた」。自分の事だけでなく苦楽を共にする仲間たちと足並みをそろえ、共に成長する大切さを実感。その変化が謙虚に丁寧に朗読と向き合う姿勢にもつながった。

一つ一つの文章に感情を乗せ丁寧に読み上げる

技術だけではなくメンタル面の成長をみせた川野は最終学年となり、その力を発揮する。県大会を突破し、念願だった初めての全国大会「第70回NHK杯全国高校放送コンテスト」で、朗読の部で準優勝に輝いた。「名前を見た瞬間、涙があふれた。3年間頑張ってきた姿を見てきて、いろいろな思いが込み上げた」。大会前は1対1で指導にあたった村上聡子教諭は、「あふれる思いをこらえることができなかった」と話す。川野も「どんな時でもめげないこと、結果が出なくても諦めない心を先生に教えてもらった」と、愛のある指導が自分を変えたと感謝の言葉を重ねた。

川野の快進撃は続いた。鹿児島で行われた「第47回全国高校総合文化祭」でも、放送・朗読部門で最高となる優秀賞に選ばれた。大躍進の影には、呼吸やロングトーンなどの基礎練習を繰り返し行うことのほか、就寝前に欠かさず行った筋トレなど地道な努力があった。諦めなければ必ず報われることを身をもって体現した川野は「部活動は引退となるが後輩たちには、これからも聞く人に気持ちを伝えることを大切に活動してほしい」とエールを送った。

村上教諭の愛あるレッスンが全国の舞台へ川野を導いた

(塩月なつみ)

© オー!エス! OITA SPORTS