ロシア、北朝鮮に小麦粉5700トン

By Kosuke Takahashi

食事をする北朝鮮の少女たち(写真: WFP/Rein Skullerud)

ロシア連邦獣医植物検疫監督庁は10月12日、同国が今年初め以降にシベリアのクズバス地域から北朝鮮に5700トンの小麦粉を輸出したと発表した。7月13日の発表時には合計3833トンだったため、3カ月間で1867トン増えたことになる。

これに先立ち、同庁は4月にも年初来でロシアがアムール州から2800トン以上のトウモロコシを北朝鮮に送ったと発表した。

北朝鮮は慢性的な食糧不足に陥っている。7月12日に発表された国連の年次報告書「2023年世界の食料安全保障と栄養の現状」によると、2020年から2022年の間に北朝鮮の人口の45.5%が栄養不良状態にあり、2019年から2021年の間の41%からさらに増加した。これは人口の約1200万人が栄養不足に陥っていることを意味し、前年の報告書データと比べても100万人以上の大幅な増加となっている。

しかし、ロシアのタス通信によると、アレクサンドル・マツェゴラ駐朝ロシア大使は9月17日に列車で一緒に移動した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記に対し、北朝鮮への食糧支援を提案したが、金氏は「苦しい時はお願いするが、今は問題ない」と断ったとされる。

●北朝鮮、エネルギーもロシアに依存

北朝鮮がロシア依存を強めているのは食糧だけではない。エネルギーもだ。国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会が9月11日に公表した報告書によると、ロシアは7月の北朝鮮への石油供給を前月比約5倍に増やし、石油輸出量は計1万933バレルとなった。

その7月はちょうどロシアのショイグ国防相が平壌を訪問し、金氏と武器取引をはじめとする軍事協力を話し合った時期だった。

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© 高橋浩祐