障害者と健常者の共生社会を 岡山の就労事業所 利用者を派遣

 障害者就労継続支援A型事業所「ありがとうファーム」(岡山市北区表町)は、精神障害などがある利用者を学校に派遣し、生徒とのトークセッションを開催している。相互理解を深めることで、誰もが暮らしやすい共生社会づくりを目指す。

 利用者の社会参加を進めたい事業所側と、人権教育に役立てたい学校側の希望が一致し、2月に瀬戸南高(瀬戸内市)、6月に岡山東商業高(岡山市)で実現した。

 メリットは双方にあるという。同ファームは「利用者のコミュニケーション力が上がり、学校からの謝礼が“収入”にもなるため社会参加意欲が高まる」。瀬戸南高の佐々木正剛教諭(45)は「障害者への偏見をなくす貴重な機会」と言い、来年も開く予定だ。

 岡山東商業高のトークセッションでは「障害者と健常者は学校や職場で一緒にいるべきか」をテーマに、利用者と生徒代表8人ずつが2年生約320人を前に意見交換。「障害者と健常者が一緒にいることで不得意なことを補い合えるはず」「でも障害の度合いによっては難しいケースもあるのでは」などと考えをぶつけ合った。

 生徒代表の男子生徒(16)は「しっかり意見を言う利用者の方々の姿を見て、障害に対するイメージが変わった」、発達障害がある女性(27)=同市=は「生徒が熱心に聞いてくれたことがうれしい」と目を輝かせた。

 同ファームは他校にも開催を働きかけており、馬場拓郎副社長(31)は「互いに接することで同じ仲間だと実感できる。共生社会実現へ、地道に活動を続けたい」と話す。

© 株式会社山陽新聞社