コロナ無料検査事業者に支援金の返還命令 茨城県、9278万円

茨城県庁=水戸市笠原町

コロナ禍で実施された検査無料化事業の支援金交付を巡り、茨城県は12日、県内に無料検査所を設置した事業者が実際の検査数を確認する必要書類を提出せず明確な理由も示さないとして、交付した9278万9千円の返還を命じた。交付に当たって水増し申請などの証拠がないとして、事業者名は公表しなかった。

県感染症対策課によると、返還の対象は2021年度から本年度までの検査約9800件分。他県の不正事例を踏まえ、同課が各事業者の申請について調査していた。この事業者には8月までに被検査者の申込書の提出を2回指示したが提出されず、提出しない理由を求めても回答がなかったという。

同事業の要項では、5年間の書類保管と県から提出を求められた際の速やかな対応を事業者に義務付けている。従わない場合、支援金返還を命令できる決まり。

同課は「検査事業への信頼を損ね大変遺憾」として、期日の11月1日までに返還されない場合は訴訟も検討する。

県は21年12月から今年5月まで、基本的に国の全額負担となる同事業を行った。登録した109事業者が約27万6千件の検査を実施した。

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