本命視するゴルファーの多い「T200」 ご意見番クラブフィッター評価は！？

タイトリスト「T」アイアンシリーズ、2023年モデルの紹介も後半戦に突入。今回は抜群の打感と寛容性で同シリーズ内で本命に挙げる人も多い「T200 アイアン」をピックアップする。素材を生かした飛距離性能と中上級者が好むスッキリボディの人気作を、前作「21年モデル」と比べながら有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は！？

「ギリギリの安心感 高級スポーツカーのセミオートマ車のよう」

―率直な印象は？
「同シリーズの中では、ユーティリティ的な初速感で、フェース面の薄さを感じる弾きの強さが印象的なモデルです。打感は決して硬くないのに、ボール初速で最高到達点に真っ先に飛び上がってくれます。すごく爽快で気持ちのいい打感が味わえる。前作の21年モデルと比べても、かなり中身が詰まったフィーリングが得られます。『T100』とまでは言わないですが、『T150』に近いソリッドで分厚い感触に進化したように思います」

―「T150」に近い…？
「はい。ちょっと厚みが薄くなったように見え、ブレードアイアン的な構えやすさを演出しながら、打った球質はユーティリティのような、スピード感と飛距離を稼ぐことができます。前作はバックフェース部分が厚かった分、重心の深さを感じながら打っていたのですが、今作は少し重心が浅くなったというか、シンプルなアイアンに近い重心深度に設定されている感じがします。『T200』の性能を維持したまま、『T150』に寄ったような感想を持ちました」

―重心が浅くなっている…？
「前作までは、重心をなるべく後ろに持ってきて、打ち出しの強さや高さを生んでいたと思うのですが、今作はそれをしなくても直進性&寛容性を発揮できる構造に仕上がったのかなと推測します。もしくは同社『ボーケイ』ウェッジシリーズが、『SM8』『SM9』あたりから取り組んでいる浅重心化の流れを取り入れ、操作性向上を図ったのかなと思います。シャープな見た目で操作性も俊敏になり、自分で操作しているような振り心地が味わえる。高級スポーツカーのセミオートマ車に乗っているような、高性能を少しだけ自分で操っている満足感。ここ2～3年で、各社が目指しているアイアンの見本になり得る存在といえそうです」

―見た目の安心感は減少した印象？
「いえいえ、ややシェイプしたといっても、『前作』と比べて多少と感じられる程度です。打つ前から感じられる分厚い当たりのイメージは、前作同様に健在。その上で、今作はフェースの薄さによる初速感と、ロフト角が立った番手でのボールの上がりにくさを払拭する性能に仕上がっています。『T100』『T150』は、自分で操作したいマニュアル性を求めるゴルファー向けで、『T200』はあくまでも見た目の安心感を抱きたい人向け。シャープさを演出しながら、難しいと感じさせない“ギリギリの安心感”を保持しています」

―他社でいうと類似モデルは？
「テーラーメイド『P790 アイアン』、ミズノ『ミズノプロ 243 アイアン』『ミズノプロ 245 アイアン』、ダンロップ『スリクソン ZX4 MK II アイアン』といった中空構造でシュッとしているけれど結果は飛ぶというイマドキなモデル。シャフトによっては、ヤマハ『inpres DRIVESTAR アイアン』も共通点は多いかもしれません。どれを買っても失敗しないタイプがそろいますが、そう考えるとゴルファー一人ひとりの好みの要素が多分に入ってくる。あとは見た目と性能のわずかな比重と、好みの形状で選ぶべきだと思います」

―どのような人向き？
「同社ファンはもちろん、今後、同社のアイアンを一度は試したいと思っていたゴルファー向き。もしくは、格好いい外見と飛距離性能を両立したモデルを探していた人に、最適なアイアンといえます。特に、アイアンのシャフトを中軽量級のスチールで組んでいた人は、純正のラインアップ「NSプロ 105T」「NSプロ 880 AMC」がそろっているので、移行しやすいでしょう。できれば、先ほど挙げた類似モデルも一緒に、比較しながら試打することをお勧めします」

評価もT150と同等 総合4.7で並ぶ【総合評価4.7点】

【飛距離】5.0
【打 感】4.5
【寛容性】5.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】5.0

・ロフト角：30.5度（7I）
・使用シャフト：NSプロ 880 AMC（硬さS）
・使用ボール：リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力／トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋