善意の着物で晴れの日彩って 被災地・真備で無料配布イベント

 2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた倉敷市真備町地区で14、15の両日、全国から寄贈された着物を地域住民に無料配布するイベントが開かれる。企画した同町川辺地区の有志によると、被災後の生活再建の中、以前持っていたような着物を買い直せていない住民は多いといい「お気に入りの着物を見つけて晴れの日を彩ってほしい」と呼びかける。

 豪雨発生時、川辺地区まちづくり推進協議会長だった横溝哲さん(88)が、発生から5年が過ぎた今も復興に向けて歩みを続ける被災者を元気づけようと計画。市真備支所の協力を得て会場を確保し、開催にこぎ着けた。

 大阪府内で着物の着付け教室を主宰する横溝さんの妹、浅野由紀子さん(83)が豪雨翌年の19年、着物業界団体の会合で川辺地区の被災状況を話したところ、団体役員から「住民に着物を贈りたい」と申し出があった。その後、寄贈の動きが全国各地の会員に広まり、浅野さんの元に続々と着物が届くようになった。今春までに色とりどりの訪問着や付け下げ、羽織、帯など約180点が集まった。

 真備町地区では生活の再建で蓄えをなくし、生活必需品以外を買い直す余裕がない人も少なくないという。横溝さんは「冠婚葬祭時の着物がなく、つらい思いをしている住民がいる。失った物は戻ってこないが、全国の皆さんの善意の着物で笑顔になってもらいたい」と話している。

 会場は同市真備町川辺のまびいきいきプラザ。着物を並べ鏡の前で羽織って選ぶことができるようにする。先着順。持ち帰る紙袋などは持参する。14日は正午~午後5時、15日は午前10時~午後4時。問い合わせは倉敷市真備支所市民課(086ー698ー1114)。

© 株式会社山陽新聞社