【中国】在中国の日系企業、投資に慎重が5割[経済]

会見する中国日本商会の本間哲朗会長=12日、北京市

中国に進出している日系企業などでつくる中国日本商会は12日、在中国の日本企業の景況感に関するアンケート結果を発表した。今年の投資計画について慎重な見方を示した企業は約5割となった。前期比で減収になったとの回答は55%を占め、企業の景況認識が厳しい現状が浮き彫りになった。

日本企業の中国での景況感を調べるアンケートは初めて。9月8~22日に行った。中国全土の日系企業8,300社が対象で、1,410社から有効回答を得た。内訳は製造業が871社、非製造業が539社。製造業では電気・電子機械(179社)、非製造業では商社(174社)からの回答がそれぞれ最多だった。

今年の投資予定を聞いたところ、「前年から投資額を減らす」「今年は投資しない」は合わせて47%。「大幅増加させる」「増加させる」の16%を大幅に上回った。「前年同額」は37%。

投資はしないとした主な理由では、「東京本社での中国への投資リスク懸念」(商社)や「中国本土の需要と海外の需要は低迷し、さらに原料の相場も高くなり、販路拡大には難航になると予測」(食料品)との声があった。

投資額を減らす主な理由では、「データ越境の規制により、市場の不確実性が高くなったため」(情報通信)や「投資に見合った収益を見通すことができない」(金融・保険・証券)など、中国市場の不確実性を指摘する声が出た。

■景況認識も低下

景況認識に関する設問では、9月22日時点の売り上げの動向について、前期比で「低下(5%以上)」と「やや低下(5%以下)」が合わせて55%となった。「上昇(5%以上)」と「やや上昇(5%以下)」は25%。「変化なし」は21%だった。

営業利益も「低下」「やや低下」が54%、「上昇」「やや上昇」が23%となった。

販売価格は「変化なし」が41%で、「上昇」「やや上昇」は16%、「低下」「やや低下」は33%だった。

前期比で見た今四半期の業況見通しでは、「悪化」「やや悪化」と予想した回答が44%で、「改善」と「やや改善」の23%を大きく上回った。地域別では、華南が「悪化」「やや悪化」が約半数を占めた。

中国の今四半期の景況見通しでも、「悪化」と「やや悪化」が57%を占めた。

■事業環境は満足の声も

事業環境についての設問では、「非常に満足」と「満足」の回答が計728件で、「非常に改善してほしい」と「改善してほしい」の計682件を上回った。満足な点は「インフラと政府支援」(金属プレス加工)や「税金・補助金など政府から手厚い対応を受けている」(電気・電子機械)などが並んだ。一方で、環境改善を求める企業からは「水産品をはじめ、日本産食品の販売環境改善」(商社)との指摘もあった。

中国日本商会の本間哲朗会長(パナソニックホールディングス副社長)は北京市で開いた会見で、「もっと厳しいアンケート結果が出るのではないかと感じていたが、在中国の日本企業の活動は成熟度としたたかさを増している」と述べ、「日系企業は生き残るすべを確立している」との見方を示した。

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