茨城 那珂・久慈川整備2年延長 東日本台風4年 治水対策で遅れ

茨城県で大きな被害が出た東日本台風(台風19号)の上陸から12日で4年がたった。被災後の2020年に国などが策定した久慈川と那珂川の「緊急治水対策プロジェクト」は、那珂川の堤防整備の進捗(しんちょく)率が約3割にとどまるなど、新型コロナウイルスの影響で遅れが出ており、完了時期が当初の24年度から26年度に2年延長された。

関東地方整備局常陸河川国道事務所などによると、国管理区間の築堤は、那珂川で計14.6キロを計画し、8月末までに32%の4.6キロを整備した。対象は水戸、ひたちなか、常陸大宮、那珂、城里の5市町と栃木県那須烏山市。久慈川では同様に計14.6キロを計画し、15%の2.2キロを整備した。

プロジェクトは国や県、市町が連携して20年1月に策定。堤防整備や河道掘削、遊水地整備による貯留機能向上、家屋移転などを合わせ、多重防御を柱としている。着手後、新型コロナの影響などで住民説明会や用地取得が進まず、完了時期の2年延長を決めた。地質調査の結果、地盤改良などが必要になったため、事業費は444億円増の約1460億円となった。

常陸河川国道事務所の三好健次副所長は「期間は延びたが、早く完成させられる箇所は、スピード感を持って進めたい」と話した。

東日本台風で茨城県では那珂川や久慈川の堤防が決壊するなどして2人が死亡、1人が行方不明となった。住宅は6市町で146件が全壊、20市町で1590件が半壊した。

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