「簡単なのはホンダ残留」「決断は日本GP後」「1年間休養の可能性も」マルク・マルケスが会見で語った移籍劇

 10月4日に2024年シーズンまでのHRCとの契約を1年残す形で早期終了することを発表したマルク・マルケス。さらに、12日には11年間過ごしたレプソル・ホンダ・チームを離れたのち、2024年にはグレシーニ・レーシングMotoGPに移籍することが明かされた。

 その12日は2023MotoGP第15戦インドネシアGP前であり、木曜日会見が開かれた。そこに出席したマルケスが、移籍劇について語った。

「これはとても難しい決断で、ホンダとの11年にわたる関係を解消することは、僕のキャリアの中でも最も難しい決断だった。僕のスタッフ、友人、家族全員があのボックスにいたから先週は精神的な面で辛かった。でも、時には“快適な空間”を離れる必要がある。僕にとってはそこがホンダだったけど、確かにしばらくは苦しかった」

「楽しんでいなかったので、再びレースを楽しむために変更した。そうでなければ、レースを続ける意味もキャリアを続ける意味もないし、僕が望んでいるのは、キャリアの中でもっともっとレースをすることだ。まずはレースを楽しむことを目標にする。そのために大家族のグレシーニ・チームを選んだんだ」

「彼らはグリッド上で最高のバイクを持っているし、僕の弟もそこにいる。僕にとっても、グレシーニ・チームにとっても大きなチャレンジになるだろうけど、彼らは過去に僕の兄弟のアレックスやエネア・バスティアニーニといい結果を残している。でも僕が言うように、あらゆる面で大きな変化になるだろうし、僕が求めているのはそれを楽しむことだし、ヘルメットの中で笑顔でいることだ。笑顔でいれば、すべてがうまくいく」

2023MotoGP:マルク・マルケス、アレックス・マルケス

■移籍を考え始めた時期について

「シーズン序盤は競争力があったが、いい意味ではなかったのが事実だ。多くのリスクを冒していたが、シーズン後半は違うアプローチで始めて、今はリスクを冒しているけど、シーズン前半とは同じではない」

「たくさんの怪我も負った。大変だったけど、怪我をして苦しいときに決断を下すことはできない。それが過去に学んだことだ。そこでは我慢しなければならない。でもシーズン後半は、もちろんホンダといい話ができた。毎週末、僕のメンタリティは少しずつ変化し、多くの疑念を抱いていたから、レースごとにとても難しかった。しかし同時に、グレシーニ・チームとも連絡を取り、『契約は進めない、ただ僕を待ちたいなら待ってほしい、でも何も約束できない』と伝えていた」

「僕が決断を下したのは先週の火曜日、日本GPの後だった。僕が言ったのは“快適な空間”から出る必要があるということ。一番簡単な方法は、状況がコントロールできていて、バイクがコントロールできていて、チームがあり、多くの給料をもらっているホンダに残ることだった」

「でも、自分自身と自分のキャリアを大切にしたいのであれば、新しいチャレンジを見つけて、その新たな挑戦と最高の場所が2024年のグレシーニ・チームだった」

■グレシーニ・レーシングへの移籍以外の選択肢

「実は1年間休養することも可能性のひとつだったんだ。さっきも言ったように、楽しまないレースは意味がない。これまでいろいろなことを楽しんできたけど、目の前のレースを戦いたい。チャンピオンが1回だろうが8回だろうが関係なく、今のために戦わなければならない」

「これが僕の目標だった。でも、別の選択肢もあった。そのすべてのチームとすべての選択肢を尊重するから言わないけど。それで僕を待っていたのはグレシーニ・チームだった。彼らは、僕が何も約束しなかったから賭けに出たんだ。でも先週の火曜日の夜に決断して、水曜日には日本で電話会談をした。というのも彼らには時間が必要で、バイクにすべての予算をつぎ込む必要があるからだ」

「メーカーやブランドには多くの時間があるが、アスリートには時間がない。もし1年棒に振れば、その分キャリアが1年減ることになる。11年間で、6度もチャンピオンシップを制覇することができたのだから、ホンダと一緒にあと数レースをうまく終えることを楽しみにしている。新しいチームと新しいマシンで、将来がどうなるかはこれからわかるだろう」

マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)/2023MotoGP第15戦インドネシアGP 木曜日会見

■一緒に移籍するスタッフの有無

「今朝、グレシーニと契約書にサインしたばかりだからまだ協議中だよ。僕たちが契約についてグレシーニと話し始めたのは(先週の)水曜日だと言ったようにね。最優先事項はホンダだったので、気を散らすことはしたくなかったし、オプションBも持ちたくなかった。その大きな理由のひとつ、あるいは最大の疑問は、チームのみんなにあった」

「でも、最終的にチームのみんなと話し合ったのは事実で、彼らは僕の友人だし、チームとしてではなく、友好的な形でアドバイスをくれた。だから、この話は僕が決断を下すうえでとても役立ったし、それから僕は自分自身を探していたんだ」

「少なくともひとりは問題ないと思えるメカニックを連れて行こうと思っているが、ふたつの理由からチーム全員を連れてくることはできない。ひとつは、10月に入っているからレプソル・ホンダ・チームを壊したくない。そしてふたつ目の理由は、すでにメカニックを擁するグレシーニ・チームを壊したくないということだ。だから僕はその決断を下した」

■最終戦バレンシアGP後の火曜日に行われるテストでドゥカティに乗るのか

「まだ確定していない。まだ話し合っている最中だし可能性はありそうだが、まだ100%確定したわけではない」

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