アルファタウリF1、方針変更により、ローソンでなくリカルドを選択「もはや若手2人を走らせることはできない」とCEO

 スクーデリア・アルファタウリのCEOピーター・バイエルは、リアム・ローソンを非常に高く評価しているものの、レギュラードライバーのうちひとりは経験豊富なドライバーを起用するというチームの新たな方針により、2024年にはダニエル・リカルドと角田裕毅のラインアップを選んだと語った。

 リカルドがオランダGPのFP2で負傷した後、リザーブドライバーのローソンが代役を務めてきた。突然F1デビューのチャンスが訪れたローソンは、素晴らしいパフォーマンスを発揮し、5戦のなかで改善し続け、シンガポールGPでは9位入賞を果たした。

 ローソンの優秀さは明らかだったが、レッドブルとアルファタウリは、2024年のレギュラードライバーに彼を選ばず、ローソンは来年もリザーブドライバーを務めることになった。

2023年F1第17戦日本GP リアム・ローソン(アルファタウリ)
2023年F1第18戦カタールGP リアム・ローソン(アルファタウリ)

 F1カタールGPの週末、ローソンに非常に満足しているにもかかわらず、2024年にレースドライバーに起用しないと決めた理由は何かと聞かれたバイエルは、親会社レッドブルの意向が関係していたと明かした。

「チームの将来について多くの議論がなされた。株主からは、『今後も若手ドライバーを育ててほしいと思っている。だが同時に良い結果も収めてほしい』と言われた。そうであれば、結局のところ、若手ドライバーをふたり起用することはできない。求められていることを実現するためには何が必要かを検討し、こういう結論に達した。シートはふたつしかないのだ」

「ダニエルは豊富な専門知識を我々に提供してくれる。我々が苦戦してきたマシンセットアップに関して、特にそれが役に立つ。裕毅はこの数年で成長し、成果を上げている。彼のパフォーマンス曲線は頂点に達しつつある。そのため、このふたりを走らせることが正しいと考えた」

「そしてふたりのすぐ後ろにリアムのような存在がいて、準備が整った状態で待機している。チーム全体として確実に進歩することになり、良いことだと思う」

角田裕毅とダニエル・リカルド(アルファタウリ)

 トロロッソ/アルファタウリは設立以来、レッドブル・レーシングのためにドライバーを育成することを主な目的として活動してきた。しかしチームの哲学が変わり、もはやそれはチームの存在意義ではなくなったということか、と聞かれたバイエルは、今後も若手の育成は継続すると答えた。

「今もそれがチームの存在意義ではあるが、それが100パーセントではない。今のF1のグリッドは、非常に競争が激しく、差が小さい。0.1秒の争いをしているのだ。そういう現実を考えると、中団トップの座をかけて戦うためには、経験豊富なドライバーがひとり必要だという結論に達した。一方で、これからも、最終的にレッドブル・レーシングで走るような、才能ある若手ドライバーの育成も続けていく」

2023年F1第18戦カタールGP アルファタウリのCEOピーター・バイエルとチーム代表フランツ・トスト

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