労基申告の職員不当解雇か 市議が理事長の施設を捜索

 栃木県真岡市の特別養護老人ホーム「いきいき萌丘東ノ郷」が、残業代の未払いがあると真岡労働基準監督署に申告した女性職員を解雇していたことが13日、施設側や関係者への取材で分かった。施設運営法人の理事長を務めるのは佐々木重信真岡市議。労基署は不当解雇の疑いがあるとして労働基準法違反の疑いで施設を家宅捜索した。

 労基法は、労働者が法律違反の事実を労基署に申告したことを理由に不利益な取り扱いをすることを禁止する。佐々木氏は取材に、女性を解雇したことを認めた上で「申告したことへの報復ではない」とし、勤務態度から判断したと主張した。

 佐々木氏によると、女性は昨年9月、調理担当として採用。申告を受け労基署は今年6月、未払い残業代計約250時間分、約44万円を支払うよう是正勧告した。施設側は全額を払った後、7月初旬に女性を解雇した。捜索は8月31日。

 関係者によると、女性の勤務時間は午前7時~午後7時(休憩含む)で、これに加えて2時間程度の残業が生じていた。

© 一般社団法人共同通信社