ウインターカップ県予選特集 バスケットボール女子(3) 勝機を呼び込むポジティブな空気が流れる藤蔭 【大分県】

高校バスケットボールの集大成の舞台である全国高校選手権大会(ウインターカップ)の季節がやってきた。出場権を懸けて戦う県予選は今月22日に始まる。ここでは実力が拮抗(きっこう)する女子のシード4校の現在地を探る。第3回は第3シードの藤蔭。自分たちのスタイルを貫き、最高の結果を目指す。

【チームパラメーター】

オフェンス 7

ディフェンス 10

リバウンド 9

シュート 7

3点シュート 7

高さ 6

昨年のチームは攻撃に特化したが、今年は真逆のチームになった。攻守の切り替えを重視するスタイルは変わらないが、守備意識が高く、「強度を上げた守備から自分たちの流れを呼び込むチームになった」とキャプテンの滝村香月(3年)。6月の県高校総体ではノーシードから勝ち上がり、決勝リーグを含めた6試合での平均失点は54.7。60失点以内に抑えて勝つことを目標としてきた選手たちは、芦川尚子監督に「優勝こそできなかったが、これまでやってきたことは出せた。満足している」と言わしめた。

全九州大会では初戦敗退となったが、「格上のチームと対戦して、基礎基本を見直すことが強化につながると認識させられた」(芦川監督)。それを試合で体感した選手らも、大会後はフットワークやシュート練習から質を上げることに重きを置いた。さらに練習時間は2時間半と制限し、一つのプレーの精度にこだわり、集中することで個々の技術は上がり、運動量も増え、チーム力も格段に上がった。

練習の質が上がった藤蔭

チームの成長はメンタルの部分にもあった。毎日のミーティングでは監督自らが趣向を凝らした。これまでは試合の映像を使って、チームの長所と短所を確認していたが、人気アニメ「鬼滅の刃」を教材にして、練習に取り組む姿勢や試合に対する心得などを説いた。芦川監督は「共通理解を深めるためにアプローチを変えたら、思いのほか選手の食いつきが良かった」と笑うが、主人公などの名シーンや名セリフを抜き出し、バスケットボールに置き換える。その手法は秀逸で、滝村は「できなかったことが、知らず知らずのうちにできるようになった」と驚く。

エースの窪田千潤(3年)は「複数人からマークされても、全員抜いて得点したい。それが自分の仕事」と強気なプレーはさらに磨きがかかり、滝村は「結果が付いてくる自信はある」とたくましさをのぞかせた。努力を積み重ねた先にある成功体験をつかみ取ろうと、チーム全体にポジティブな空気が満ちている。

チームの得点源となる窪田千潤

(柚野真也)

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