伝説的ロックバンド「スターリン」、「ラリーズ」元メンバーが絵と写真で共演 神戸・長田のギャラリーで2人展

「作品の背後にあるものを読み取ってもらえれば」と話すイヌイジュンさん=長田区二葉町2(撮影・風斗雅博)

 日本ロック史に名を刻む画家イヌイジュンさん(64)と写真家中村趫(きょう)さん(74)が2人展「Ready for War~戦闘準備完了!」を、長田区二葉町2のシティギャラリー2320で開催、それぞれ約40点を出品している。

■「ザ・スターリン」のドラマー

 イヌイさんは尼崎市出身で、甲陽学院高から多摩美術大へ進学。1980年に結成したパンクバンド「ザ・スターリン」でドラムを担当し、過激なステージが話題を呼んだ。85年の解散後は建築家として活躍していたが、2015年に音楽活動を再開。21年から絵画にも精力的に取り組む。

 神戸での作品展は初めてで、「enough to live,too late to die」(生き過ぎた、死ぬのが遅かった)と題した荒々しい筆触の抽象画連作に加え、地元の風景をモチーフに制作。「上昇志向の象徴」という神戸ポートタワーから三宮センター街、神戸三宮駅に至る構成は「町をほっつき回って、最期は終着駅」との人生観を込めたという。

■「裸のラリーズ」のギタリスト

 中村さんは京都市出身で、1967年に同志社大で「裸のラリーズ」を結成。唯一無二の爆音ノイズで伝説化されたバンドに、ギタリストとして約6年在籍した。80年から写真を始め、女性や人形を耽美(たんび)的に表現した作品で知られる。

 今回は「DISOBEDIENCE」(不服従)のタイトルで近作を再構成。退廃的な女性像にリアルなニュース画像を組み合わせた作品は「世界が入り込んでくるのが面白い」と、米同時多発テロ以後に取り組む、もう一つの表現の柱だ。その鋭利な視線は、再開発でコミュニティーが消えた京都・崇仁地域の再開発にも向けられている。

 22日まで(土-火曜正午~午後7時)。入場無料。22日同3時半からはトークやライブのイベントが近隣会場である(投げ銭制)。同ギャラリーTEL090.3845.7279 (田中真治)

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