紫式部の衣装や指欠けた仁王像修繕 大河ドラマ「光る君へ」前に滋賀県の有名寺院がCF

クラウドファンディングで修復される予定の紫式部人形の装束(大津市石山寺1丁目・石山寺)

 紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送を来年に控え、大津市の石山寺は、国や県から補助が出ない未指定文化財の修繕を目的にしたクラウドファンディング(CF)を始めた。目標額は1千万円。大河ドラマの放送に合わせることで、紫式部が「源氏物語」を着想したと伝わる同寺について広く知ってもらいたいとの思いもあるという。

 同寺には建物や経典、仏像、絵画など幅広い分野で、文化財指定を受けていない数千点の宝物がある。専門技術を持った工房でなければ修復作業を行えず、費用も高額になるという。

 CFの支援金でまず修復されるのは、本堂の「源氏の間」に置かれた紫式部と侍女の人形が身につけている平安装束。色あせや虫食い跡があり、衣替えに約700万円必要だという。

 次は、紫式部の肖像画として教科書で採用されている土佐光起筆「紫式部図」で、大きな傷が複数箇所あるため、費用は約230万円。他に、檜皮(ひわだ)ぶき屋根に草木が生い茂っている龍蔵権現社や指が欠けてしまった「東大門の仁王像」も修復を検討しているという。

 CFのコースは5千円からで、金額に応じて、御朱印帳や快慶作の仏像参拝体験などの返礼品が並ぶ。

 担当者は「修復は職人にとっても技術を学ぶ機会。何百年後の未来に文化財をつないでいくために力を借りたい」と呼びかけている。12月17日まで。

装束が変色する前の紫式部人形(石山寺提供)

© 株式会社京都新聞社