子宮頸がん、腎臓病を防ぐには 酒田で本社8大事業「県民健康講座」

子宮頸がんワクチンや慢性腎臓病について知識を深めた山新県民健康講座=酒田市・酒田勤労者福祉センター

 山形新聞、山形放送の8大事業の一つで、身近な疾病について学ぶ「県民健康講座」の2023年第3回講座が12日、酒田市の酒田勤労者福祉センターで開かれた。山形大医学部と県医師会所属の医師が講師を務め、市民ら約100人が、子宮頸(けい)がんと慢性腎臓病(CKD)の予防法などに関して理解を深めた。

 開講式で、主催者を代表して佐藤秀之山形新聞社長が「『健康で長生き』は人生を豊かにする上で誰もが願うこと。講演が健康づくりのヒントとなり、健康寿命延伸につながることを願う」とあいさつした。矢口明子酒田市長は「専門家の話を聞くことは健康維持のためにとても大切だ」と述べた。板垣正義山形放送社長も出席した。

 山形大医学部産科婦人科学講座講師の清野学氏が「知ろう! 子宮頸がんワクチン」、さとう内科クリニック(同市)院長で酒田地区医師会十全堂会長の佐藤顕(けん)氏が「慢性腎臓病について」と題してそれぞれ講演した。

 清野氏は、子宮頸がんが近年20~30代で増加傾向にあるとし、「早期に発見できれば子宮を残したまま治療できる」と説明。「初期は自覚症状がないため、定期的な検診が重要となる」と語った。がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を防ぐワクチン接種の有効性を強調し、「重篤な副反応と接種の因果関係は証明されておらず、症状が出る可能性も低い。正しい知識を持ち予防を考えてほしい」と呼びかけた。

 佐藤氏は、腎臓の障害や機能低下が3カ月以上続いている状態を指す「慢性腎臓病(CKD)」の患者が国内に1300万人いると指摘。透析患者は国内35万人だが、多くが透析治療に至る前に心血管疾患で亡くなっている現状を紹介した。「予防するには生活習慣病全般への対応が重要」と強調し、塩分摂取を1日6グラム以下に抑え、適正体重を維持するといった対策を提案した。

 会場では県看護協会の看護師による健康相談や、手洗い指導も行われた。

 県民健康講座は山形新聞、山形放送、山形大医学部、県医師会、県看護協会が主催し、今年は5~10月に山形、長井、酒田の各市で開いた。第3回講座の内容は19日付の本紙で詳しく伝える。

子宮頸がんワクチンや慢性腎臓病について知識を深めた山新県民健康講座=酒田市・酒田勤労者福祉センター

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