豪先住民巡り、14日に国民投票 格差解消狙い、「反対」優勢

国民投票に向けたイベントで発言する改憲賛成派の広報担当者=9日、オーストラリア・シドニー(ゲッティ=共同)

 【シドニー共同】オーストラリアで、先住民の意見を議会に反映しやすくする憲法改正の是非を問う国民投票が14日に行われる。非先住民との格差解消を図るアルバニージー首相の目玉政策だが、「国民を分断する」といった批判などを背景に反対が優勢との見方が強い。

 投票では、アボリジニなどの先住民を「最初のオーストラリア人」と明記し、先住民の代表でつくる諮問機関「声」を設置する改憲への賛否を問う。諮問機関に強制力はないが議会に政策を提言でき、野党陣営の保守連合を中心に反対が広がる。

 9日付オーストラリアン紙が報じた世論調査機関ニューズポール社の集計によると、反対は58%で賛成の34%を上回った。

 オーストラリアでは「白人社会への同化」を理由に、先住民の子どもを親元から白人家庭や施設に隔離する措置が1970年代まで続いた。被害者は「盗まれた世代」と呼ばれ、政府は2008年、公式に謝罪。10年には地位改善に向けた国民投票の計画を発表し、改憲の条文案を長年協議していた。

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