玉山鉄二&真木よう子「次元大介」インタビュー――「次元大介の新しいキャラクターが引き出された作品。必ず楽しんでいただけます」

「ルパン三世」シリーズの人気キャラクター、次元大介が主役の映画「次元大介」がPrime Video で独占配信中。愛銃コンバット・マグナムの修理のために日本を訪れた次元大介(玉山鉄二)が、声を失った孤独な少女・水沢オト(真木ことか)を救うため、退廃したスラム街を牛耳る闇組織との戦いに挑むアクションエンターテインメント作品だ。本作で9年ぶりに次元大介役を演じた玉山鉄二と、次元と対決する美しくも残酷な元殺し屋であるアデル・ギース役の真木よう子に話を聞いた。

これまでのどの作品にもない、次元大介の新しいキャラクターが引き出された作品

――撮影を終えた今のお気持ちは?

玉山 「実は、前作の映画(2004年公開の実写版『ルパン三世』)が終わった時、次元大介で何かオリジナルストーリーができたらいいねという話は出ていたんです。そこから結構時間が経って、コロナ禍で1回ポシャったり、また復活したりという二転三転がある中で、こうしてちゃんと形として作り上げることができたので、非常に感慨深いです」

――脚本をお読みになった時の感想や、役づくりについてお聞かせください。

玉山 「前作の『ルパン三世』とは違って、結構内容がハードというか、ちょっと重めなテイストの作品になると感じました。今回、アクションがすごく多い一方で、非常にヒューマンというか。オトという1人の少女との関わりの中で、次元大介のこれまでにない新鮮な部分が出てくるんじゃないかと期待しながら演じていました」

真木 「アデルは原作にはないオリジナルのキャラクターだったので、自分の中でいろいろ考えて遊べるのかなと。私が思うアデルは、そんなにはちゃめちゃなキャラクターではないんです。あまり感情をあらわにせず、人形みたいな感じでいる方が恐ろしいのではないか。その辺りを考えながら演じました」

――アクションが得意な真木さんですが、車椅子でのアクションはいかがでしたか?

真木 「アクション用にいくつも車椅子が用意されていて、滑りのいいタイプとか、いろんな種類の車椅子があったので、一つ一つの操作を自分で覚えていって、その中でアクションしていくっていうのが面白かったです」

――玉山さんのアクションシーンも相当ハードだったのではないでしょうか。

玉山 「撮影は大変でした。夕方から現場に入って、殺陣(たて)と動きを決めていたのですが、初冬で、全部ナイトシーンだったので、てっぺん(深夜0時)を回るとめちゃめちゃ寒かったです。戦隊ものをやっていたんでアクションは得意な方だと思いますけど、とはいえ、もうおっさんなんで寒さが身に染みましたね(笑)」

圧倒的な存在感を放つ天才子役、真木ことかと物々交換?

――今作では、真木ことかさん演じるオトの存在が一際目を引きますが、共演された印象は?

玉山 「オトの存在は大きいですね。子どもが苦手な次元が、オトと関わることでどんな顔を見せるのか…。彼女(真木ことか)の演技、リアクションによって、これまでのどの作品にもない、次元大介の新しいキャラクターが引き出されたと思いますし、僕個人としては、映画『レオン』みたいな空気感が出せたらいいなと思いながら演じていました」

真木 「オトちゃん、最初のうちはあまり話さなかったけど、すごくキラキラした目で私のことをずっと見ていてくれたんですよ。何でだろうと思ってたら、彼女の“真木ことか”という芸名の“真木”は、私に憧れてつけてくれたそうなんです。最初は『絶対うそじゃん!』って信じられなかったけど(笑)、本当だったみたいで…。なんか、そういうふうに言ってくれる子が出てきてくれたっていうのが、すごくうれしいなって思いました」

玉山 「彼女は何でも難なくできちゃう上、プラスアルファの努力がすごい。泣きのシーンでも、1回素に戻っちゃうと泣けないからって、そのシーンの撮影いっぱいずっと泣いていて。集中力がすごいなと思いました」

真木 「私は彼女といろいろなものを交換しました。オトちゃんがくれたのは『おぱんちゅうさぎ』のキーホルダー。私は娘も持っているかわいいグッズをプレゼントしたりして、そういうのも楽しかったです(笑)」

――草笛光子さん、永瀬正敏さんとの共演はいかがでしたか?

玉山 「草笛さんはアドリブ的な合いの手がすごく多くて、そこに対するリアクションが、次元としては取りづらい部分もあったりして(笑)。でも、草笛さんがいらっしゃるだけですごく空気がなごんだり、逆にすごく締まったりとか、空気をガラッと変えるのがお上手なので、いろいろ勉強させてもらいました。永瀬さんはすごく真面目で、役と向き合っている時間が本当に長い。現場の最中でも、『もっと何かあるんじゃないか』とずっとアイデアを振り絞っている姿に、役者としての情熱を感じました」

真木 「永瀬さんはカメラマンとしても活動されていて、シーンが終わった後に、アデルのキャラクタービジュアルを撮っていただく機会があったんです。私も女優1本だけで終わらせたくない気持ちがあるので、役者だけでなく、好きなことがいくつもある永瀬さんのような人ってすてきだなと思いました」

見たい作品を、見たいタイミングで見られるのが配信のよさ

――本作は配信作品となりますが、普段、配信作品はご覧になりますか?

玉山 「僕はむしろほぼ配信しか見ないですね」

真木 「私も娘がいるので、リアルタイムのテレビよりも配信の方が中心になっちゃいましたね」

玉山 「ライフスタイル的に、タイムテーブルがないっていうのが一番でかい。その時間に合わせてこれを見るという風習がどんどん薄れてきてますよね。自分のタイミングで、見たいものを的確に見る。今はそういう時代なんじゃないかなって思います」

真木 「うちの場合、娘が見るのって2次元だったりVTuberとかだったりするんですよ。一緒に楽しもうと思って、ちょっと頑張って乗っていこうとはするものの、正直よく分からない(笑)。だから、“娘の時間”と“私の時間”をちゃんと決めて、『この時間はママの映画タイムにさせてね』と言って、自分の好きな作品を見るようにしています。たまにテレビの取り合いになることもありますけど(笑)」

――例えば、次元にとってのコンバット・マグナムのように、お二方にとって「これがなくちゃ始まらない!」というようなものがあれば教えてください。

真木 「私はカフェラテかな。今日も飲んでいるけど、現場では特に欠かせないです」

玉山 「僕はお酒のことしか考えてないかも(笑)。飲むのはもっぱらウイスキー。僕にとってお酒は、“スイッチを切るきっかけになるもの”です」

――映画やドラマ、漫画などで、好きなヒーローやアンチヒーローなど、お気に入りのキャラクターはいますか?

真木 「私は『BANANA FISH』という漫画に出てくるアッシュ・リンクスですね。ニューヨークのギャングのボスでありながらもすごく人格者で、でも最後は孤独に殺されてしまう。あの感じがすごく好きで。ああいいな、こういう人間になりたいなと思った、唯一の憧れです」

玉山 「ヒーローとはちょっと違うかもしれないけど、子どもの影響で『千と千尋の神隠し』を見た時に、けなげに石炭を運ぶまっくろくろすけ(ススワタリ)がかわいいなと思いました(笑)」

――では最後に、映画「次元大介」をご覧になった感想をお聞かせください!

真木 「とても面白いエンターテインメント作品になったと思います。ファンタジーで何が起こるか分からないので、どんどん引き込まれていくんじゃないかな」

玉山 「必ず楽しんでいただける作品なので、先入観なく見てもらえるとうれしいです」

【プロフィール】

玉山鉄二(たまやま てつじ)
1980年4月7日生まれ。京都府出身。O型。99年、ドラマ「ナオミ」(フジテレビ系)で俳優デビューし、以降、ドラマ「牛に願いを Love&Farm」(フジテレビ系)、連続テレビ小説「マッサン」、大河ドラマ「西郷どん」(ともにNHK)、「CODE-願いの代償-」(日本テレビ系)、「全裸監督」シリーズ(Netfilx)、映画「カフーを待ちわびて」(2009年)、「ルパン三世」(14年)、「今はちょっと、ついてないだけ」(22年)など、さまざまな映像作品で活躍している。現在、大河ドラマ「どうする家康」(NHK)に大野治長役として出演中。

真木よう子(まき ようこ)
1982年10月15日生まれ。千葉県出身。A型。99年、舞台「どん底」でデビュー。14年、主演映画「さよなら渓谷」(13年)で第37回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞、「そして父になる」(13年)で最優秀助演女優賞をダブル受賞。代表作はドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」「最高の離婚」(ともにフジテレビ系)、大河ドラマ「龍馬伝」(NHK)、「ボイス 110緊急指令室」シリーズ(日本テレビ系)、映画「ゆれる」(06年)、「孤狼の血」(18年)など多数。本年は映画「ネメシス 黄金螺旋の謎」、舞台「パラサイト」に出演、現在、主演映画「アンダーカレント」が公開中。

【作品情報】

映画「次元大介」
Prime Videoで世界独占配信中

長年連れ添って来た愛銃(S&W M19 コンバット・マグナム)に違和感を感じ、世界一のガンスミス(銃職人)を探して日本にやってきた次元大介(玉山鉄二)。たどり着いた先に待っていたのは、さびれた時計店と“世界一のガンスミス”とは思えない風貌の女性・谷口千春(草笛光子)だった。

「銃の仕事はもう辞めている」と千春に断られた次元は、時計を買いたいと再び店を訪問。同じタイミングで店には、言葉を発することもできず、感情をどこかに置き忘れてきたかのような少女・水沢オト(真木ことか)が現れる。思いがけず始まった疑似家族のような暮らしの中で、オトの悲しい過去が徐々に明かされる。

不器用ながらも少しずつオトを気にかけるようになる次元との間に芽生えた何かが、傷だらけの彼女の心を癒やす穏やかな日々が続くかのように見えた矢先、謎の集団が千春の時計店を襲い、オトは連れ去られてしまう。目撃者たちに、オトを連れ去ったのは、スラム・泥魚街のボスで、車椅子に乗り、国籍も年齢も不詳の絶世の美女にして伝説の元・殺し屋のアデル・ギース(真木よう子)と、右腕・川島武(永瀬正敏)の私兵で、彼らがオトを狙う理由を聞いた次元は、千春の制止を聞かずに1人でアデルのもとへ向かうが…。

取材/TVガイドWeb編集部・オカムラユリ 文/オカムラユリ 撮影/為広麻里
ヘアメーク/TAKE(3rd)[玉山]、石川美幸(B.I.G.S.)[真木]
スタイリング/YOSHIO HAKAMADA(juice)[玉山]、藤井希恵(THYMON Inc.)[真木]
衣装協力/ワンピース¥53,900/FORFORMO(フォルフォルモ)、ネックレス¥242,000/oeau (オー)、ブーツ¥40,700/YOSHITO(ヨシト)[真木]<問い合わせ先:アブソリュート/06-6537-2068、Harumi Showroom/03-6433-5395 (oeau)、ニューロンドン /03-5603-6933(YOSHITO)

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