【秋華賞/追い切り診断】リバティアイランドがまさかの……「B」辛口評価 「唯一敗戦のアルテミスSと同じ」

■リバティアイランド

【中間調整】新馬戦で究極の末脚3F31秒4を繰り出し快勝し、大器の片鱗を示した。続くアルテミスSこそまさかの敗戦に終わったものの、その後は阪神JF、桜花賞、オークスと同世代相手のGIで3連勝。オークスは敢えて仕掛けをじっくり待つ余裕を見せ、最後のハロン棒手前から満を持して追われると楽々突き抜けて後続に6馬身差のV。堂々たる横綱相撲から世代の頂点に立っている。

その後、前哨戦は使わず3冠が懸かる秋華賞へ直行するのは既定路線。桜花賞もぶっつけだっただけにこれで問題なしだろう。予定通り9月12日に栗東へ帰厩し、18日に14-14から終いを伸ばした坂路調教が初時計。以降、坂路とCWを併用するいつも通りの調整をこなしている。1川田騎手が騎乗した1週前のCW併せ馬では、5F65秒9(強め)と自己ベスト更新となる猛時計をお釣り残しでマークした。休養効果で一段とパワーアップしたか。

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【最終追い切り】レース当週も川田騎手が騎乗し、CWで併せ馬。大きく先行した古馬1勝クラスを追走。コーナーワークで差を詰めると、直線序盤であっさり抜き去ってしまう。1頭となって気を抜いたのか、そこからの加速にやや物足りなさはあったものの、手応えは十分残っており鞍上もまったく無理をさせていなかった。

【見解】調整過程は春2冠と同様で順調そのもの。開始時期や本数に関してはまったく問題がなく、1週前に自己ベストを更新するなど、さらなる成長もうかがえるところだ。しかし、最終追いで抜け出してからいささか伸びあぐねた点はどうしても気になるところ。ラスト1Fの計時は11秒7で、同馬の最終追いとしてはこれまでで一番遅い数字だ。さらに1週前のラスト1Fと比較して、最終追いのラスト1Fが遅くなるのも今回が初めて。

<リバティアイランド 1週前CWラスト1F⇒最終追いCWラスト1F>

新馬戦:11秒7⇒11秒1
アルテミスS:11秒3⇒11秒3
阪神JF:11秒8⇒11秒5
桜花賞:11秒7⇒11秒2
オークス:11秒9⇒10秒8
秋華賞:11秒0⇒11秒7

過去唯一の敗戦だったアルテミスS時が同じ数字に留まっていたことも含めて考えると、やはり最終追いで前週より切れなかった今回の動きは手放しで褒められるものではない。攻めの開始時期や本数、見た目上の躍動感から体調面は問題なしだろう。しかし夏の間の成長でボリュームアップした体を持て余しているのか、他の要因なのか、ギアを上げ切れない引っ掛かりが馬の内面にあるのかも。突出した能力であっさり勝ち切ってなんら不思議はないが、まだ良化の余地を残している状態ということは頭に入れておきたい。

総合評価「B」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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