警察官が付き添い1千万円寄付「教育に役立てて」 兵庫・丹波篠山の高齢男性が「ふるさと基金」へ

酒井隆明市長(左)に寄付金の目録を手渡す井関道夫さん=丹波篠山市役所

 振り込み詐欺ではありません、自治体への高額寄付でした-。兵庫県丹波篠山市の井関道夫さん(87)が、「子どもらの教育へ役立てて」と市のふるさと基金に1千万円を寄付したが、詐欺などの被害防止のため、警官が付きそう一幕もあった。

 井関さんは9月29日、市城東支所へ現金1千万円を持参。その際、篠山署の警官2人も一緒だった。高齢者による多額の現金引き出しだったため、金融機関が詐欺などを疑い、署へ連絡したという。

 井関さんは無事に寄付。後日、市役所を訪ね、酒井隆明市長へ寄付の目録を手渡した。

 井関さんは高校卒業後、長年、実家の農業と冬の杜氏の仕事に精励。蔵人として、白鶴酒造(神戸市)や地元の櫻酒造(丹波篠山市井ノ上)などで働いたという。2009年以降、市への寄付を続けており、寄付額は累計で4300万円となった。

 酒井市長を前に「つぼみをよく育てることが大事。教育の底上げを」と井関さん。「(子どもらの)個性を伸ばしてもらいたい。ノーベル賞を受けた山中伸弥さんのような人が育てば」とも訴えた。市は今回の1千万円について、井関さんの名前を冠した基金を設けることも検討している。(堀井正純)

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