封鎖のガザ、状況悪化の一途 死者増加、近づく医療崩壊

イスラエルの攻撃で負傷し、病院に運ばれた子どもたち=11日、パレスチナ自治区ガザ(AP=共同)

 【エルサレム、カイロ共同】イスラエルが「完全封鎖」を宣言し、大規模空爆を続けるパレスチナ自治区ガザの状況が悪化の一途をたどっている。地区への電気や燃料を遮断され、唯一の発電所が停止。民間の死傷者の増加も止まらない。病院は患者であふれかえるが、医薬品も不足し、医療崩壊が近づいている。

 ガザ最大の医療機関の一つ、シファ病院のムハンマド・アブサルミヤ院長は12日、「1時間に100人以上が搬送される。治療を待つ患者が廊下にあふれている」と苦境を訴えた。

 医療スタッフの疲弊も激しく「治療中に家族が亡くなったとの訃報が届く職員もいる」と院長。「こんな悲惨な事態はかつて経験したことがない」とイスラエルへの憤りをあらわにした。

 ガザでは約216万人が暮らし、住宅が密集している。境界をイスラエルに管理され、住民に「逃げ場」はない。イスラエルはこれまでの空爆時、民間の被害拡大を避ける目的で事前に住民へのメッセージを送ってきたが、今回は警告のない攻撃が起きているという。

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