兵庫県警側「適切な指導」、遺族「非認めて」 機動隊パワハラ自殺訴訟 控訴審が結審、和解提案

兵庫県を相手取った控訴審に臨むため、大阪高裁に入廷する木戸一仁さんら=13日午後2時55分、大阪市北区西天満2、大阪高裁

 兵庫県警機動隊の巡査だった木戸大地さん=当時(24)=の自殺は先輩隊員らによるパワーハラスメントが原因だったとして、木戸さんの両親=広島市=が兵庫県に計約8千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は13日、大阪高裁(石原稚也裁判長)で結審した。判決は来年1月30日の予定。

 一審の神戸地裁判決は先輩隊員のパワハラを認め、県に100万円の支払いを命じた。一方、自殺との因果関係については認められず、双方が控訴していた。

 二審では、被告側に安全配慮義務違反がなかったかどうかが主な争点となり、13日は先輩隊員の男性上司への証人尋問があった。先輩隊員がしっ責したという木戸さんのミスについて上司が「重大なミスではなかった」と認めていることに対し、両親側の弁護人が「(しっ責を)なぜ止めなかったのか」と質問。上司は「適正な指導の範囲だと思った」と主張し、裁判官からの質問にも「パワハラではなかった」と説明した。

 結審後の記者会見で、木戸さんの父、一仁さん(75)は「8年間戦ってきて疲れた。県警には非を認めてほしい」と語った。高裁は結審後、双方に和解協議を提案した。

 木戸さんは2012年9月から機動隊で勤務。15年10月6日に隊舎自室で首をつっているのが発見され、9日後に病院で死亡した。

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