矢板市推計人口 半世紀ぶりに3万人割れ 98年ピークに漸減

矢板市役所

 【矢板】市の1日現在の推計人口は前月比38人減の2万9979人(男1万4890人、女1万5089人)で、約半世紀ぶりに3万人を割り込んだことが13日、市への取材で分かった。市の人口は市内への工場進出が活発化したことなどを背景に1960年代後半から増加したが、98年11月の3万7100人をピークに緩やかに減少している。一方で、今年7~9月は3カ月連続で転入が転出を上回っており、斎藤淳一郎(さいとうじゅんいちろう)市長は「人口減少の克服に向け、自然動態への働きかけに一層注力したい」とコメントした。

 推計人口は国勢調査を基礎として毎月の出生、死亡、転入、転出を加減して市が算出、毎月1日現在の数値を県に報告している。

 市総合政策課によると、9月1日現在の推計人口は3万17人。9月の1カ月間で、出生から死亡を引いた「自然動態」で31人、転入から転出を引いた「社会動態」で7人それぞれ減った。3万人の大台を下回るのは、70年以来になるとみられるという。

 一方で10月1日現在の推計人口は、厚生労働省の「国立社会保障・人口問題研究所」が発表している市の将来推計値を2人上回った。プラスになるのは2018年以来、5年ぶり。同年12月のシャープ栃木工場の生産終了に伴い、多くの社員が転出した影響などで長年、推計値を下回っていた。

 斎藤市長は「3万人割れはインパクトが大きいかもしれないが、栃木工場が生産を終了した“シャープショック”があった中でよく粘り、ようやく乗り越えたと言いたい」とした。

 市の9月1日現在の推計人口は県内25市町中で15番目。自然動態が出生12人、死亡31人、社会動態が転入85人、転出62人で計4人増だった。

矢板市の人口の推移

© 株式会社下野新聞社