長崎県内生産者初の機能性表示食品受理 波佐見・百笑会プラス「焙煎菊芋茶」

有機栽培の畑で育ったキクイモと焙煎菊芋茶を手にする中尾代表=波佐見町

 有機野菜の栽培や加工を手がける団体「百笑会プラス」(長崎県東彼波佐見町村木郷、中尾博文代表)が、生産販売する「焙煎(ばいせん)菊芋茶」について、食後の血糖値の上昇を抑える水溶性食物繊維「イヌリン」を豊富に含んでいる機能性表示食品として消費者庁に届け出て、受理された。健康志向の強い消費者に効能をアピールすることで需要の拡大を目指している。
 成分分析した県工業技術センター(大村市)によると、県内の農業生産者が届け出をしたのは初めて。同食品は販売者の責任で同庁に届け出て科学的根拠に基づいた機能性を表示する。
 キクイモは北米原産のキク科の多年草。常温では傷みが早く、市場への流通が制限されるため、同団体は2年ほど前から根の部分を乾燥、焙煎してお茶として販売を始めた。昨年4月、中尾代表が知人や購入者から「健康診断の数値が改善した」と聞いたのが届け出のきっかけ。
 同センターが菊芋茶の改良の相談を受け、機能性を満たすイヌリンが摂取できる茶の量や抽出時間、お湯の温度などを精査した。茶の焙煎方法も改良し、香ばしくてほんのり甘く、冷めてもおいしい菊芋茶にリニューアルし、今年8月下旬に同庁に受理された。
 同会は農薬や化学肥料を使っていない作物や食品であることを示す「有機JAS」の認証を取得し、タマネギやブルーベリーなど約5ヘクタールの農地で栽培。加工品の生産は佐世保市の社会福祉法人「チアフルハーツ」に委託。有機タマネギを丁寧に炒めた「あめ色玉ねぎ」は食品メーカーなどに納めている。
 同センター食品開発支援センターの宮田裕次専門研究員は「キクイモにかける情熱が素晴らしい。有機JAS認証を得ていることから、加工品の海外展開も可能」と話す。
 中尾さんによると、キクイモは除草の手間がかからず、有機栽培に適しているという。「波佐見でも耕作放棄地が増えている。キクイモが解消の切り札になるとともに、皆さんの健康維持にも役立てば」と話している。
 ティーバッグ3グラム10包入りで1600円。はさみ温泉湯治楼(同町)やおおむら夢ファームシュシュ(大村市)などで販売。問い合わせは百笑会プラス(電0956.55.8337)。

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