ST1000王者は誰の手に? 「勝ったもん勝ち」の決勝に向けてのランキング上位3名の心境/2023全日本ロード第8戦鈴鹿

 10月14~15日に三重県の鈴鹿サーキットで開催されている『2023年MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第8戦 第55回 MFJグランプリ スーパーバイクレースin鈴鹿』は、シリーズ最終戦を迎えた。毎戦激戦が繰り広げられているST1000クラスは、多くのライダーにチャンピオン獲得の可能性が残されており、僅差での争いとなっているが、上位3人に決勝への意気込みを聞いた。

 第7戦岡山終了時点では、國峰啄磨(TOHO Racing)が77ポイントでランキングトップ、2位は76ポイントの榎戸育寛(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)、3位は74ポイントの渡辺一馬(Astemo HondaDream SI Racing)がつけている。この3名のライダーに王座獲得の可能性が残されているが、非常にポイント差が接近している。今回の鈴鹿の予選でも上位6名がレコードブレイクし、タイムも非常に接近しているため、決勝では誰が勝ってもおかしくない状態と言えるだろう。

 ポイントリーダーの國峰は、開幕戦のもてぎで優勝し、以降は優勝こそないものの第3戦SUGO、第6戦オートポリスで表彰台を獲得している。2022年シーズンもチャンピオン争いを繰り広げていたが、惜しくも2位で終えており、今シーズンこそは王座を獲得したいと誰よりも強い思いを持っているのではないだろうか。今回の予選では5番手となったが、日曜日の決勝では追い上げを図っていく。

國峰啄磨(TOHO Racing)/2023全日本ロード第8戦鈴鹿 ST1000 予選

 そして、ランキング2位の榎戸は、2021年にST1000復帰をしたライダーだ。2023年シーズンは第3戦SUGOと第6戦オートポリスのレース1で優勝を飾っている。ST1000クラスでは初となるチャンピオン獲得に向けて、熱い思いを持っているだろう。今回の予選では2番手とフロントロウを獲得しているが、明るいキャラを持つ榎戸はどのようなレースを展開するだろうか。

榎戸育寛(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)/2023全日本ロード第8戦鈴鹿 ST1000 予選

 ランキング3位の渡辺は、3連覇に挑むライダーだが、2023年シーズン序盤は表彰台に上がるも、なかなか優勝を掴めずにいた。第6戦オートポリスのレース2ではトップ独走も終盤に痛恨の転倒でノーポイントで終えていたが、第7戦岡山ではようやく今季初優勝を手にした。そこから一気に流れを掴んだのか、今回の鈴鹿では予選でポールポジションを獲得。波に乗っている渡辺だが、いい流れのまま決勝を戦い、3連覇達成となるだろうか。

渡辺一馬(Astemo HondaDream SI Racing)/2023全日本ロード第8戦鈴鹿 ST1000 予選

 激戦の中でチャンピオン争いを繰り広げる3名のライダーたちだが、王座獲得をどのように意識して決勝を戦うのか。彼らにその心境と、意気込みを聞いた。

■國峰啄磨/TOHO Racing
「予選はあまり上手くまとめられませんでしたが、最低限のセカンドロウまでには入れましたし、自己ベストも更新はできました。あとレースは、みんな6台ぐらいが同じだと思うので、そこでうまく組み立てて、優勝できればと思います」

「去年も同じような感じで、同ポイントのチャンピオン争いのなか勝ったもん勝ちで、今回もほぼ同じような感じだと思います。今年1勝しかしていないので、チャンピオンももちろん考えますが、優勝できればチャンピオンもついてくるので、優勝できるように組み立てていきたいと思います」

「毎回心臓が痛くなるくらい緊張するので、いつも通りと言えばいつも通りです。まず、逆にチャンピオン獲らないといけないという緊張は少ないです。1回もチャンピオンを獲ってなくて毎年2位にしかなってないので、逆に変にそこは緊張せず、楽しめたらなと思っています」

「(決勝レースの展開は)多分中盤から後半にかけてだんだんきつくはなってくるので、そこをうまくそのタイミングを狙って順位を上げていけたらなと思っています」

■榎戸育寛/SDG Motor Sports RT HARC-PRO.
「予選は赤旗中断があり、最初は思うようにはアタックできなかったですが、その後は切り替えてレースのことにフォーカスして、セッション最後まで走りました。結果的にはアベレージタイムはそんなに悪くないので、決勝に向けてはそこそこいいと思います。優勝したいので、チャンピオンよりも最終戦の鈴鹿を優勝して終われるように、とにかく最初から最後まで全力で行きたいです」

「予選前はちょっと緊張しました。明日も直前は緊張すると思っています。チャンピオン争いより、このレースを優勝で終わって最後を締めくくりたいです。今シーズンは混戦の中で2勝を挙げられているので、最後まで最多勝を守って終わりたいという思いの方が強いので、『絶対にトップでゴールしてやるぞ』という意気込みの方が正直強いですね」

「ST1000のレース展開は変わるので、読めません。まずは出てみて自分がリードできればいいですが、できなかった場合はとにかく様子を見ながら最後に余力を出せるようにしたいです」

■渡辺一馬/Astemo HondaDream SI Racing
「チャンピオンを獲るための条件はすごくシンプルだと思います。レースの中で意識はしながら、勝つことを何よりも考えて、どうすれば勝てるかというのを考えて走れば、自ずとチャンピオンになれると思うので、そのために頑張りたいと思います」

「(3連覇にかける思いは)もちろんすごく強く持っています。自信のない人はいないと思いますが、自信云々というより、どうすれば獲れるかということだけを考えたいと思っています」

「(決勝レースの展開は)スタートしてから決めようと思っています。スタートして、1コーナーでどういう集団になるか、自分の場所と、もちろんスタートから出られればいいと思います。けれど、あれだけのメンバーとタイムの中で逃げ出すことはなかなか簡単ではないと思うので、スタートして集団がどういう動きになるかを見て最終的には考えたいと思います。最後まで自分のペースをしっかり守って走ろうと思っています」

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