【箱根駅伝予選会】「おっさん学生だって頑張れた」放送大関西・衣斐俊彦さん 31歳の1年生、歴史的節目に再挑戦

笑顔でゴールする放送大関西の衣斐さん=国営昭和記念公園

 平均年齢28.8歳の大学生チームが歴史的節目に名を刻んだ。14日に都内で行われた東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)の予選会。来年1月で100回記念大会を迎える予選会は全国から参加可能となり、北海道や関西から史上最多の57校が予選通過枠13校を懸けて臨んだ。

 横浜緑ケ丘高出身で、放送大関西1年の会社員・衣斐俊彦さん(31)もその中の1人。過去には別の大学で箱根路を目指した市民ランナーは再び、関西の競技仲間とともに特別なレースを駆け抜けた。

 自身3度目となる予選会は575位。ハーフマラソンの自己ベストに及ばなかったが、20キロ地点通過では、東京農工大時代に初出場した2014年の予選会(20キロ)よりペースを上回った。

 「当時の自分より前の集団で勝負できた。昔の自分より成長できている。20代の大学生と競り合ったことで『30代のおっさん学生でも頑張れるんだぞ』とは伝えられたかな」。衣斐さんは空を見上げ実感を込めた。

 愛知生まれ横浜育ちの31歳は現在、大阪府内の金属部品メーカーの会社員。中学・高校時代は野球部に所属した。陸上を始めたのは大学生から。「小学4年時のマラソン大会で上位に入ったり、高校の冬のトレーニングでも先輩に勝ったりして。昔から長距離は得意だったので、自分のレベルを試したいと思った」

 1年間の浪人生活を経て入学した東京農工大で陸上部に入ると、わずか3カ月で当時の箱根予選会の参加標準記録をクリア。仲間にも恵まれ、3年時から2年連続で予選会に出場した。

 2016年春に大学卒業後、大阪で会社員となった後は「関西に知り合いがいなかったので」と市民ランナーになり、クラブチームや関西の練習会に参加して友人と健脚を鍛えてきた。

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