指定避難所、ペット同伴で 川崎市が風水害時のルール策定 東日本台風の教訓生かし受け入れ体制整備

ペット同行避難に関して周知する川崎市のチラシ

 2019年10月の台風19号(東日本台風)で大規模な氾濫被害が起きた川崎市では、指定避難所176カ所すべてで、風水害時のペットの受け入れに関するルールが策定された。被災当時はペットを連れた避難者の受け入れを巡り、現場で混乱が生じるケースもあったという。こうした教訓を生かそうと、市は地元住民らと連携して体制整備を進めている。

 市は06年に、震災時の避難所運営マニュアルにペット同行避難に関して定め、震災だけでなく、すべての災害でペットを受け入れる方針を決めた。しかし、その後も各避難所の運営者が判断し、対応は分かれたという。

 転機となったのが東日本台風。当時は多摩川と支流・平瀬川の合流部(同市高津区)などで氾濫被害が起き、最大3万3千人以上が市内の避難所に避難した。しかし、市の方針が現場に浸透していなかったため、ペットの受け入れが認められないケースもあったという。また、自宅で被災して亡くなった男性は犬などを飼っていたといい、避難をためらった可能性もあるとみられている。

 こうした中、市は20年3月に、風水害時の避難所運営マニュアルにもペット同行避難について定め、方針を明確にした。さらには各指定避難所でも地元住民らがペットの保管場所などを定めた風水害時のルール作りを進め、震災時のルール作りよりも早く、すべての指定避難所で作業が終わった。

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