茨城県常陸太田市出身のパン職人、栗原淳平さん(40)が、ドイツ・ミュンヘンで現地時間22日に開幕するパンの世界大会「iba(イバ)カップ」に日本代表として出場する。20代前半から目指してきた夢の舞台。「優勝職人の店が茨城にあるという状況をつくりたい」と頂点を狙う。
栗原さんによると、同大会はフランスで開かれる2大会と合わせて「三大世界大会」と称される。ヨーロッパを中心に12カ国が集い、2人一組でテーマに沿ったパンを作る。
今大会は飾りパン▽ハード系パン▽クロワッサン▽プチパン-の計4種類の製造と、それぞれのパンを美しく配置するディスプレーの5部門に分かれ、部門別と総合優勝を争う。
栗原さんは県内3店舗のオーナーシェフ。2021年大会に向けた20年の最終予選で代表の座を勝ち取ったが、新型コロナウイルスの影響で大会開催が見送られていた。延期となった2年間は店舗の人材育成と権限委譲を進め、大会優勝を目指して1回5~6時間に及ぶ練習時間を確保するなど、これまで以上の研さんを積んだ。
今大会のテーマは「アニマルワールド」。ペアを組む「ラ・タヴォラ・ディ・オーヴェルニュ」(東京)の美月さんと「あめ細工やチョコレートでは作れない、パンだからできるデザイン」にこだわり、構想を練り上げてきた。「見て楽しい、食べておいしいダイナミックなパンになった」と手応えを感じている。
大会では前日の仕込みに1時間、本番は7時間半で生地作りから焼き上げまでを行い、30分間でパンを配置する。使える粉は種類も量も決まっており、日本とは水も違う。初めて扱うオーブンの癖を見抜きながら、調整を重ねて仕上げるのも至難の業で「絶対にトラブルは起こる」。細心の注意で臨む構えを見せる。
お菓子が大好きだった幼少期、「もっとたくさん食べたい」とお菓子作りを始めた。お菓子をプレゼントした時、相手が喜ぶ笑顔がパン職人を目指す原点となった。
「1位になれば、皆さんがおいしいと思っていたものが認められる」と栗原さん。店舗に足を運ぶファンのためにも、世界一の称号獲得に向けて全力を尽くすつもりだ。