沖縄の与那国島で南部弁・津軽弁2人芝居 方言サミット沸かす

方言サミット与那国島大会で2人芝居を披露する柾谷さん(左)と長谷川さん=14日午後、沖縄県与那国町立久部良小体育館

 方言の次世代への保存・継承に向けた「危機的な状況にある言語・方言サミット与那国島大会」(文化庁、沖縄県などが主催)が14日、沖縄県・与那国島の与那国町立久部良(くぶら)小学校体育館で開かれた。青森県から、南部弁の保存・継承に尽力してきた八戸市公民館長の柾谷(まさや)伸夫さん(75)、青森市で浪岡演劇研究会を主宰する長谷川等(ひとし)さん(76)が参加。約200人を前に、南部弁と津軽弁の2人芝居を披露した。会場からは、青森の方言に「響きがユニーク」との感想が聞かれた。

 同サミットは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が2009年に消滅の危機にあると報告したアイヌ語(北海道)、奄美大島(鹿児島県)、与那国島(沖縄県)など日本の八つの地域言語の保存・継承を目的に毎年開かれている。

 多様なプログラムのうち、柾谷さんと長谷川さんは全国各地の方言を比較する「聞き比べ」、実際に方言でのやりとりを再現する「表現披露」に参加。聞き比べでは、あいさつの仕方などを分かりやすくネーティブな南部弁と津軽弁で紹介した。

 続く表現披露では、柾谷さんが作・演出を手がけた、シニア世代の再就職をテーマにした2人芝居「こっただ面接ある訳(わげ)ァねえ~津軽弁と南部弁の面接バトル勃発!!~」を披露。軽妙なやりとりに会場からは拍手と笑いが起きていた。

 宮古島から訪れた幼稚園教諭の奥平さゆりさん(53)は「南部弁と津軽弁を初めて聞いたが、響きがとてもユニークと感じた。自分が住む宮古島とのイントネーションの大きな違いに驚いた」と話した。

 5回目の同サミット参加となる柾谷さんは舞台後、取材に「サミットで演劇を披露するのは初の試み。観客にも新鮮に感じてもらえたのではないか」、長谷川さんは「意味は十分伝わらなかったかもしれないが反応が良かったので、音としての津軽弁を楽しんでもらえたと思う」とそれぞれ手応えを語った。

 サミットでは、与那国方言辞典を監修した信州大学の中澤光平講師が言語継承と研究者の役割について基調講演した。

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