第2子出産予定の専業主婦「家計は赤字だが発達障害があり働きづらい…どうすれば教育資金を貯められる?」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、来年第2子を出産予定の26歳専業主婦の女性。家計は毎月赤字ですが、発達障害で働きづらく、できれば専業主婦でいたいけれどこのままでは家計が心配だといいます。FPの鈴木さや子氏がお答えします。


現在1歳児の子育てをしており、来年2月に第2子出産予定の専業主婦です。現在旦那の収入で生活していますが、毎月赤字が続いています。私は以前看護師として働いていましたが、発達障害があり(注意欠陥、コミュニケーション能力の低さなど)、働きづらさがあったことから、このまま専業主婦を続けられたらいいのになぁ…と考えています。

しかし、このままでは子供たちの教育資金や自分達の老後資金が貯められないのではと不安に感じています。相談したいことは3点です。

(1)このまま専業主婦を続けてかつ教育資金や老後資金を貯めることは可能か。

(2)旦那の民間保険について学生の頃から見直しをしていないため見直しを検討しているが、自分達に必要な保障は何なのか、月いくら程度まで保険にお金を使用して良いのかがわからない(ちなみに今は死亡保険100万円と医療保険に加入しており、保険料は旦那の母親が負担してくれています)。

(3)旦那が休日は家で1日じっとしていられないタイプなので、土日は毎日遠くにドライブへ行ったり日帰り温泉に入ったりしているのですが、娯楽費がかかりすぎていることが気になっている。娯楽費を削減するコツを知りたい。

よろしくお願いします。

※編集部注 相談文は一部編集しています。

【相談者プロフィール】

・女性、26歳、専業主婦 ・夫:26歳(地方公務員) ・子ども:1人(1歳)

・旦那の母親と祖母:近隣の一戸建てに住んでおり、いつかはその家を引き継いで移り住む予定。築15年程度。

・お住まい:北海道(賃貸)

・毎月の世帯の手取り金額:19万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:75万円

・給与・事業収入以外の収入:児童手当月額1万5,000円、燃料手当月額2万3,360円(11月〜3月)

・毎月の世帯の支出の目安:25〜30万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:6万5,000円

・食費:3〜4万円

・水道光熱費:夏季1万円〜2万6,000円、冬季最大7万円

・教育費:0円

・保険料:1万円(年金保険)

・通信費:1万3,000円(夫婦の端末台 分割払い費込み)

・車両費:ガソリン代:1万5,000円 (数年以内に故障する可能性あり、買い替えを検討。自動車保険4万6,000円/年)

・お小遣い:旦那の酒・タバコ・昼食2〜3万円、休日の家族のお出かけ費(外食、日帰り温泉など)5万円

・その他:動画配信サービス990円、ウォーターサーバーのお水4,000〜8,000円、その他家族の誕生日や旅行、NHK受信料などの年間特別費が42万円程度/年

・奨学金1万1,725円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:0円

・現在の貯蓄総額:200万円

・毎月の投資額:0円

・現在の投資総額:0円

・現在の負債総額:奨学金残債225万1,200円(※金利なし、2039年9月に完済予定)

【その他】

教育プラン:中学までは公立を想定。その後は本人の意向に任せたいと思います。私の父親名義で第一子の学資保険加入中。18〜22歳までの5年間20万円ずつ受け取れる予定。

鈴木:二人目を妊娠されているママからのご相談です。これからかかる教育費や老後資金のための貯金ができないのではとご不安なのですね。不安を減らすために、これからどんなお金がかかるのかを知り、具体的に計画を立ててみましょう。目標がわかれば、家計の見直しもやりやすくなります。ぜひ旦那様も一緒に読んでもらえると幸いです。

現在は年間36万円の赤字

まず、収支バランスを見てみましょう。現状、毎月赤字となっておりボーナスでも補てんしきれなくなっています。現在はお子様の教育にお金がかかっていませんが、小学校に入学してからは右肩上がりにかかってきますので、このままですとあっという間に資産が底をついてしまいます。いただいた家計の情報を図に整理したところ、年間36万円が不足していることがわかりました。

支出を手取り収入まで抑えよう

年間手取り収入は現在の金額です。来年からは第2子の児童手当が加わるため少し増えますが、児童手当は将来の学費のためにすべて貯蓄に回しましょう。現行では子ども一人あたり総額で約200万円になり、高校や大学の学費として頼りになります(支給額が拡充されれば総額は増えます)。児童手当の支払い先を生活費口座にせず、貯金用の口座を指定すると良いですね。

生活費の129.6万円には、食費・水道光熱費(年間48万円として試算)・通信費・ガソリン代が入っていますが、お子様のおむつ代や日用品費が入っていないのであれば、もう少し高いかも知れません。娯楽費には、動画配信サービス代・ウォーターサーバー代(年間7.2万円として試算)や休日のお出かけ費用、NHK受信料(2.4万円として試算)が、年間特別費にはご家族の旅行や誕生日のお祝いなどが含まれます。

まずは、児童手当以外の年間手取り収入331万円までに支出を抑えられるように、お金の使い方を見直しましょう。現在ある200万円の貯蓄は、ご出産前後に一部必要になりますし、何かあった場合に備える資金として、できるだけ手を付けないように心がけを。現在のお金の使い方のうち、次の項目について見直せないかご夫婦で検討してみてください。減らしたい金額の目安は、年間40万円です。

娯楽費の削減のコツ

<減らせないか検討する項目>
・夫のタバコ代・昼食代・お酒代:24~36万円/年
・家族のお出かけ費(外食、日帰り温泉など):60万円/年
・動画配信サービス:約1.2万円/年
・ウォーターサーバーのお水:4.8万円〜9.6万円/年
・その他家族の誕生日や旅行など:42万円/年

どの費用を減らせるかは価値観によって人それぞれです。たとえばタバコやお酒にかけるお金を月1万円減らすように頑張る、お昼はお弁当を作る、外食やお出かけを月2万円減らしてみるなど、ご夫婦でお互いの希望と妥協できる点をよく話し合ってみてください。

また、ご質問にあった「娯楽費削減のコツ」ですが、予算内に抑える工夫を楽しく行うことです。たとえば外食は月2回まで、お出かけは1日1万円まで、または月2万円までなど目標を決めてご夫婦で楽しみながら計画を。日ごろのお出かけ、外食、旅行など全てを希望通り叶えることはできません。予算の中で優先順位を決めて選ぶようにしましょう。また、施設に行く場合は「いこーよ」などクーポンサイトや、施設のHPをチェックしてから行くのを忘れずに。

無理せず働ける在宅ワークを探してみましょう

今の貯蓄に手をつけないようにと書きましたが、家計を年40万円見直しても、お子さまが小学校に上がると赤字家計に戻ってしまい、試算上は12年目に資産が底をついてしまいます(車の買い替えは試算に入っていません)。

そこで、ご相談者様も仕事をして少しでも稼ぐことをおすすめします。できるだけご相談者様が楽しく働ける仕事は何だろうと考えたのですが、在宅ワークはいかがでしょうか。人にも会わず、子どものそばでできるのが利点です。パソコンをお持ちなら、データ入力やブログライターなどの仕事で慣れてくれば月5万円以上稼ぐことも可能です。

筆者も子どもが0歳児の時、子どもを寝かしつけた後、ブログライターやアンケートモニターなど在宅ワークをしていました。月1万円でも稼げるとワクワクしてきますよ。もしかしたら看護師の知識や経験を活かせるような医療記事を書く仕事などもあるかも知れません。「クラウドワークス」や「ランサーズ」など、クラウドソーシングサービスで、どんな仕事があるか一度チェックしてみてくださいね。また、在宅ワークではありませんが、看護師の資格保持者対象の単発アルバイトなどもあると聞きます。

5年後に年間84万円の収入アップを目指したい

試算してみたところ、家計の手取り収入がご相談者の働きによって2年目は年36万円、3年目は年60万円、4年目は年72万円、そして5年目以降年84万円アップすれば、ギリギリではありますが、今後資産が底を尽きることなく、お子さまが独立した後は貯蓄が進むため、60歳時点で約1700万円貯まっている計算となりました。これなら途中で自動車を買い替えることも可能ですよ。貯蓄ができるようになったら、「積立定期」や「貯蓄預金」「自動定額積立」などを活用して、勝手に貯まる先取り貯蓄の仕組みを作ってくださいね。

家族の生活費のために収入保障保険の検討を

夫が加入している保険は、死亡した場合に100万円受け取れる死亡保険(保険料は親が支払っている)と医療保険の2つとのことですが、これからかかるお子様の教育費や家賃など生活費を考えると、死亡保障がかなり不足しています。万が一のあとご相談者様は手に職があるため働くことは可能ですが、保険でもう少し備えておくと安心ですね。

おすすめの保険は、万が一死亡したらその後一定時期まで「毎月10万円」など、年金形式で保険金を受け取れる「収入保障保険」です。亡くなる時期が遅くなるほど、受け取れる保険金の総額が少なくなるため、いつ亡くなっても同じ金額を受け取るタイプの死亡保険よりも、保険料が安く済みます。

たとえば、万が一亡くなった場合に、29年後の2052年まで毎月10万円受け取れる収入保障保険に26歳男性が加入した場合、ある保険会社では保険料が約2,000円でした。月15万円ですと約2,800円。29年後にはお子様もみなさん独立していますので、保険料を抑えつつ最低限保障を得られる、このようなプランが良いでしょう。

また医療保険については詳細が分からないのですが、保険料を出してもらえているのであればそのまま継続を。もし保険料を負担することになった場合は、貯蓄が少なければ継続、ある程度貯まっていたらやめてもよいですが、状況によっては継続した方が良い場合もあります。その際、また専門家に相談してみてくださいね。

お金は優先順位をつけて使おう

来年には二人目が生まれるとのこと、にぎやかになりますね。お子様と一緒に楽しい生活を送るためにも、先取り貯蓄の仕組みを作った上で、「何にお金を使うと幸せか」の視点で優先順位をつけて、ご家族みなさんで大切にお金を使ってくださいね。また、ご相談者様が働きやすいお仕事が見つかるよう心から願っております。応援しています!

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