あの帽子っぽい形をした火星の岩 NASA火星探査車Perseveranceが撮影

こちらはアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「Perseverance(パーシビアランス)」のカメラ「Mastcam-Z」で撮影された岩の画像です。科学的な話はひとまず脇に置いて、読者の皆さんはこの岩の形から何を連想しましたか?

【▲ 火星探査車PerseveranceのMastcam-Zを使って火星のジェゼロ・クレーターで撮影された岩。名前は「ミドル・マウンテン」、愛称は「ソンブレロ・ロック」。2023年9月8日撮影(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】

Perseveranceを運用するNASAのジェット推進研究所(JPL)のブログによると、この岩は「ソンブレロ・ロック(Sombrero rock)」の愛称で呼ばれています。メキシコの伝統的な帽子「ソンブレロ」の広いつばを思わせる岩の形にピッタリのネーミングです。ちなみに岩の正式な名前は「ミドル・マウンテン(Middle Mountain)」といい、おそらくシエラネバダ山脈にある山のひとつにちなんで名付けられたと思われます。

JPLによれば、岩の表面が内部に対して相対的に硬化し、内部のほうから優先的に侵食作用を受けた結果として、このような形の岩が形成されたと考えられています。Perseceranceはソンブレロ・ロックの他にも同様のプロセスで形成されたとみられる岩を撮影しています。

【▲ 火星探査車PerseveranceのMastcam-Zを使って火星のジェゼロ・クレーターで撮影された岩。硬化した表面を残して内部から先に侵食作用を受けたとみられている。2023年7月27日撮影(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】

JPLによると、岩の表面が硬化するプロセスの多くは水と岩の相互作用と密接に関連していることから、過去の火星の気候や表面の水について興味深い推測ができるかもしれないといいます。ソンブレロ・ロックの中心部分と外縁部分の組成に違いがあるのかどうかを調査し、岩の形成プロセスを通してこの地域の地質学的な歴史をより深く理解するために、レーザーを使って岩石の組成を遠隔で分析する「SuperCam(スーパーカム)」とMastcam-Zによる観察が行われたということです。

【▲ 火星探査車Perseveranceに搭載されている観測装置の位置を示した図。Mastcam-ZとSuperCamはどちらもPerseveranceのマスト、通称“ヘッド(頭)”と呼ばれる部分に搭載されている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

ソンブレロ・ロックの画像はJPLのブログにて2023年9月25日付で紹介されています。

Source

  • NASA/JPL \- “Sombrero Rock”: A Case of Case-Hardening?

文/sorae編集部

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