高校バスケットボールの集大成の舞台である全国高校選手権大会(ウインターカップ)の季節がやってきた。出場権を懸けて戦う県予選は今月22日に始まる。ここでは実力が拮抗(きっこう)する女子のシード4校の力関係の現在地を探る。第4回は攻守の戦術が明確になり、王座奪回を目指す中津北だ。
【チームパラメーター】
オフェンス 8
ディフェンス 7
リバウンド 6
シュート 7
3点シュート 9
高さ 6
6月の県高校総体後、1、2年生が主導権をとって練習してきたのは、自覚を持たせるためでもあった。3年生はそれぞれ進路に向き合い、大方の道筋が決まった9月に復帰すると、チームは3年生主体のチームに戻った。大津留礎監督は、「毎年のことだが、3年生が戻ると、下級生はどうしても頼ってしまう。もっと主張してほしいが仕方ない」と苦笑い。
ウインターカップは3年生にとって最後の大会。思い入れの強さは、これまでの大会とは別物だ。キャプテンの都甲結菜(3年)は「入学したときからウインターカップでベスト8に入ることを目標としてきた」と強い思いを口にする。3年生に引っ張られるようにチームに一体感が生まれ、大会に向けて熱を帯びている。
共通理解を深めるために攻撃を明確にした。大津留監督は、「これまでフリーでやってきたオフェンスを、しっかり言葉にして形として落とし込んだ」という。まずは速攻を仕掛け、相手の守備体勢が整う前に攻撃を仕掛ける二次攻撃(アーリーオフェンス)の際の4人目、5人目の動きを明確にし、セットオフェンスにつなげる。都甲は「アーリーオフェンスでしっかり得点できるようになり、ディフェンスからの速攻も増えた」と手応えを口にする。
守備は中津北のお家芸でもあるオールコートゾーンプレスを際立たせるために、いくつかの緩急のあるスタイルを駆使する。「メリハリをつけることで選手はスイッチが入りやすいし、相手も対応しにくくなる」と大津留監督。3年前のウインターカップ出場後は全国大会から遠ざかっており、王座奪還に向けて攻守での約束事を徹底している。とはいえ、戦術に縛るようなことはない。大津留監督は「シュートを決める、簡単に抜かれない。しっかりやることをやればいい。シンプルなんですバスケは」と、最後は選手の感性に委ねるつもりだ。
(柚野真也)