【寄稿】ステマ問題(WEB版)/大﨑一万発

10月からのステマ規制法施行で、パチンコホールの広告宣伝のあり方も大きく変わると言われています。と、外野は騒ぐばかりなんですが、その中身がどうなるか、遠からず発出される改訂ガイドラインに盛り込まれるのか、そもそも消費者庁がパチンコを縛れるのか等々、肝心なことはまったくもって見えてきません。僕も広告宣伝業ド真ん中でやらせてもらってますので、ホール様や業者様と同じく、かなり不安な状況ではあります。

言うまでもなく現在、出玉系集客イベント告知の中心は、インフルエンサー(晒し屋)を使ったステマです。「善意の第三者」が自分の行きたいホールを紹介する体裁ながら、具体的な機種示唆や出玉公約を並べた、明け透けすぎる煽り広告。なんでお前がボーダー+1の台が全体の5%投入とか知っとるんやー!と突っ込むのも野暮なぐらい、ホールにもプレイヤーにも重要な意味を持つ媒体としてのポジションを確立しました。

あんまりにも堂々と展開しているので忘れてしまいそうですが、迂回ルート経由にせよ晒し業者にホールからのお金が流れていることは一目瞭然であり、これはモロに脱法のステマ広告に他なりません。なくてはならない存在なれど、広告宣伝ガイドラインの趣旨をぶち壊しにしかねない鬼っ子でもある。さてどのような対応になるのか、#PRとつければいいって話でもありませんからね。

一定の自由化を勝ち取ったとはいえ、出玉を煽る、特定機種の示唆をすることは変わらず御法度のまま。ボーダー云々とパチンコを対象にした煽りは、釘調整問題にも関係するさらにヤバい領域に踏み込んでいます。宣伝したいけどやれない現実、だから晒しを使うわけですが、PR注記をしなければステマ規制に反する、つければガイドラインに反する。かと言って今さらやめることもできない……。

いや思い切って禁止としたところで、結果報告や出玉レポートを事前告知化するやり方はどうなんだ、ナントカ広告掲載日、カントカ景品入荷日なら悪くないだろ、本当の第三者が勝手に晒すのはどうするんだと(これは逆手に取って競合潰しに使うことも可能ですね)、諸問題が噴出するのは分かりきったことで、結局は現状ママの脱法横行は変わらないと嘯くホール様や業者も多数という、施行目前にしてカオスな状況が続いているわけです。

聞き及ぶところによれば、晒し問題に関しては雲の上方面でも意見が対立し、早々と使わないに方向転換する、PR注記必須となるならやめる、いやどうにもできんだろ云々と侃侃諤諤の様子。そらそうですよね、それぞれ必死のサバイバル戦、簡単に収拾などつけられるはずもありません。

いい台を打ちたいプレイヤーとしては、ないよりあった方がいいに決まっている。ガセイベを打つホールは激減したし、僕自身も開店前にSNSをチェックするのが日常になっています。しかし同時に、脱法状態を当たり前に容認する産業ってどうなのよ、このまま放置すればまた厳しい鉄槌が下されてしまうのではと良からぬ想像もしてしまうわけです。

いずれにしても、何らかの規制や通達は降りてくる。その線引きの是非を問うつもりはありませんし、関わる者としても従うしかないわけですが、やるなら「ザル法」だけは勘弁願いたいところ。容易に抜け道が見えるようなら、さらに悪質な方向性だと最悪の事態を招くことも考えられるわけです。具体的すぎる煽りは論外にしても、スレスレでいいから匂わせできる発信をホール様自らがやっていける。裁量権を拡大し、晒しなんて使う必要なくなったよねと自然に淘汰される。そんな環境を願うのは夢想が過ぎるでしょうか。

■プロフィール
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。

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