岸田文雄首相(自民党総裁)は15日、与野党一騎打ちとなった衆院長崎4区補選に立候補した同党新人の金子容三候補(40)の応援で長崎県入りした。厳戒態勢の中、佐世保、西海両市で街頭演説し「物価を超える賃上げを実現し、持続できる経済を未来につなげていく」と訴え、月内に取りまとめる経済対策で結果を出すとアピールした。
厳戒態勢は4月の衆院補選の際、首相に爆発物が投げ込まれた事件を受けた対応。両会場とも聴衆は、金属探知機で手荷物検査を受け、首相がいる街宣車から距離を空けた場所で演説を見守った。爆発物を探知する警察犬も導入された。
首相は佐世保市の演説で金子候補を「金融・経済に強く、即戦力と確信している」と述べた。日本経済については「デフレの中、コストカットで経済を支えてきたが、これでは長続きしない」とし、成長戦略「新しい資本主義」を進めた結果、賃金や株価が上昇、投資も増えたと胸を張った。
その上で経済や外交・安全保障などの課題を挙げ「大きな変換点に直面している。先送りできない課題に向き合い結果を出していく」と力を込めた。
西海市では「国の柱である農林水産業を未来に向けて持続できる形につくっていく」と訴えた。子育て政策やデジタル化を進め、地方活性化に取り組むとした。
首相は演説前、5月に死去した北村誠吾前衆院議員を追悼するため北松佐々町のカトリック佐々教会を訪問。遺族らと面会した。
立憲民主の枝野幸男前代表や西村智奈美代表代行も前職、末次精一候補(60)の応援で佐世保市に入った。枝野前代表は「政府の物価高対策は後手に回っている」と批判した。