ちょんまげ姿で創業精神語る 発酵ジンジャーエール製造「しょうがのむし」代表 「最強の作戦」学生に説く

発酵ジンジャーエールを起業したエピソードを話す周東孝一さん

 創業について学ぼうと、埼玉県宮代町の日本工業大学では、10日、さいたま市見沼区で発酵ジンジャーエールを製造、販売する株式会社「しょうがのむし」代表の周東孝一さんが講演した。和服、ちょんまげ姿がトレードマークの周東さんは学生に向け「小さい企業が地域の課題に取り組むことで売り上げを伸ばせる」と創業の精神を語った。

 同大学と川口信用金庫が連携し開催する講座「創業の基礎」の一環として周東さんが講演した。周東さんは酒類量販店で会社勤めをした後、台湾に留学。独立して中国語の通訳や利き酒師として活躍、現在さいたま市見沼区に醸造所を建て、見沼の休耕地を活用した発酵ジンジャーエールの製造、販売に取り組む。

 講演で周東さんは、高校時代から和服に興味を持ち、近年は家族に相談しちょんまげを結っているなどエピソードを披露した。会社員を数年で辞め企業するまでの経緯に触れ「怒鳴られながら仕事をしていた。もうサラリーマンは嫌だな。消極的な理由で翻訳を起業した」と振り返った。

 日本進出を目指すビール会社から声をかけられ、帰国したが返事がない。友人から「1回の人生、人を待つのはもったいない」と言われたのがきっかけで、ビールの醸造を学び、ジンジャーエールの製造に踏み切った。

 さいたま市のビジネスコンテストで優勝、クラウドファンディングで資金を調達することに成功するなど、行動が共感を生み事業が進んだ。「できるかできないかではなく、やるかやらないか。やることでいろんなことが起きる。できないことをやることが最強の作戦」と行動を起こすことの大切さを強調した。

 周東さんは事業を通して、休耕地の活用、新規就農者の支援、障害者雇用の促進など地域課題を解決するビジネスモデルに取り組む。「これまでは大きい企業が社会貢献しイメージアップするというのがあるべき姿だった。地域の課題を解決すると発信することでアンテナを立てている人が応援してくれる。小さい新しい企業でも課題解決に取り組むことで売り上げを作れるということを知ってほしい」と新しい創業の在り方を示した。

© 株式会社埼玉新聞社