猛ウイルスにはビタミンDが効く!インフルエンザ撃退するマイタケレシピ

9月21日に、東京都が過去最速でインフルエンザの「流行注意報」を出した。

小池都知事は、「4週間以内に大きな流行が発生する可能性が高い」と発表。また、全国でインフルエンザでの学級閉鎖も相次いでいる状態だ。

インフルエンザはこの数年間、激減していた。

新型コロナウイルスの影響でマスクや消毒などの対策が行われ、’21~’22年シーズンには報告数0.3万人と低い水準を保っていたが、いったいなぜ、今年になって大流行の兆しを見せているのだろうか。

この傾向について、内科医の久住英二先生(ナビタスクリニック立川)はこう話す。

「今年は流行が例年よりも早く、実は初夏ごろから当クリニックでもぽつぽつインフルエンザの患者さんは出ていました。それが、9月に入ってから急激に増えたのです。特に、高校生以下にインフルエンザが急増。大学生以上はコロナウイルス罹患者が多くなっています。若者の間で流行し、中高年や、重症化リスクの高い高齢者に感染する危険もあるので、すべての世代で要注意です。昨年まで減っていたインフルエンザが急増した理由としては、インフルエンザワクチンを受ける人が減っていたことが影響しているでしょう。さらにコロナが5類移行したこともあり、この夏に今まで自粛傾向だった移動範囲が拡大したことなどが挙げられます」

また、ここ数年で、私たちのインフルエンザへの免疫がかなり低下していた、と指摘する。

「コロナの影響で、数年間インフルエンザが流行せず、ウイルスにさらされなかったことで、インフルエンザに対する免疫が低下しています。同様のことは、手足口病やプール熱など、さまざまな感染症で起きています。そして今や免疫の低下した人類を狙って、多くのウイルスが次々に襲いかかってくる、いわば感染症戦国時代です」(久住先生)

従来は11月くらいから増加するインフルエンザが、すでに猛威を振るう今年。そんななか、予防として有効なのが「ビタミンD」だという。

日本生活習慣病予防協会の発表によると、「ビタミンDが呼吸器感染症を予防する」そうだ。たとえば、東京慈恵会医科大学が行った臨床試験では学童を対象としたビタミンDのサプリメントの投与でインフルエンザA型の発症リスクが42%減少したという報告も。

また、海外での試験では、ビタミンDの投与で、インフルエンザ症状の早期回復、ウイルス量減少などの働きが示された。

このようにインフルエンザ対策として注目されているビタミンDだが、その不足が今、世界的な課題ともなっている。欧米では、食品への強制添加も行っているほどだ。

「ビタミンDには免疫機能を調整する働きがあります。体内にウイルスが侵入したときに、不要な免疫反応に抵抗して必要な免疫機能を促す役割があり、インフルエンザはもちろん、ほかには風邪、コロナウイルスなど感染症への効果が期待されているのです。ビタミンDは太陽の光を浴びれば体内生成することができるという特徴があり、本来ならそれで足りるのですが、夏から晩夏には日焼け止めを塗ったり、日傘などで日光を遮ることが多く生成量が不足しがち。秋から冬にかけては日照時間も短くなります。ですから、ビタミンD欠乏が起こりうるのです」(久住先生)

■マイタケには豊富なビタミンDが

インフルエンザ対策のために、食事から積極的にビタミンDを補おう。食のアドバイザーで栄養士の成田和子さんはこう話した。

「ビタミンDといえば、含有量が多いのが、きのこ類や魚類です。なかでもマイタケは、ダントツでビタミンDの含有量が多いのです。ぜひ積極的に食べてほしい食品です」(成田さん)

マイタケを手軽においしく食べられるレシピを、今回3つご紹介。毎日、マイタケ料理を作るのも大変なので、作り置きできるおかずを成田さんに提案してもらった。

いずれも5日~1週間は冷蔵庫で保存できる。アツアツご飯の上にかけて食べるもよし、電子レンジであたためたり、そのまま食べるのもよし、の3品だ。

■「マイタケ漬け」

【材料】

マイタケ…200g
しめじ…100g
ゆで汁+水…1/4カップ
A:酢…大さじ4、砂糖…大さじ1、塩…小さじ1/2、醤油…大さじ1
赤とうがらし…1本

【作り方】

〈1〉マイタケを半分に切り、さらに8等分ぐらいに切る。しめじは石づきを切り、小房に分ける。
〈2〉〈1〉をビニール袋に入れ600Wの電子レンジで3分30秒加熱する。
〈3〉具材をざるにあげて汁には水を足す。
〈4〉〈3〉の汁にAと半分に切った赤とうがらしを入れて煮立たせる。
〈5〉〈3〉の具材に〈4〉をかけて冷ます。

■「マイタケとえのきたけのしょうが煮」

【材料】

マイタケ…300g
えのきたけ…100g
しょうが…20g
赤とうがらし…1本
A:醤油…大さじ2、砂糖・酒…各大さじ1、塩…少々
酢…大さじ1
ごま油…適量

【作り方】

〈1〉マイタケは食べやすい大きさに切る。えのきたけは石づきを落とし、半分に切り、石づきに近いほうをほぐす。しょうがは千切りにする。
〈2〉赤とうがらしは半分に切り、種を出す。
〈3〉〈1〉〈2〉を鍋に入れ、Aを入れて混ぜ、中火で汁がなくなるまで10分ぐらい煮る。最後に酢とごま油を加えてひと混ぜする。

■「マイタケとエリンギの焼きマリネ」

【材料】

マイタケ…300g
エリンギ…100g
玉ねぎ…(小)1個
にんにく…2片
オリーブ油…大さじ2~3
A:酢…大さじ2、白ワイン…大さじ2、塩…小さじ2/3、こしょう…少々
ようじ…3~4本

【作り方】

〈1〉マイタケは食べやすい大きさに切る。えりんぎは半分から四半分に切る。玉ねぎは輪切りにして中心部に向けてようじを刺す。にんにくは薄切りにする。
〈2〉〈1〉をボウルに入れてオリーブ油をかけて軽く混ぜる。
〈3〉フライパンに〈2〉を並べて火をかけ、焼き色がつくように両面を焼く。
〈4〉焼き上がったら別のボウルに入れてAをかけて軽く混ぜる。

「マイタケは秋になると最もうま味が増し、価格も安くなります。多めに買っておいて、冷凍して使うのもよいでしょう。そして、調理時には凍ったまま使うのがコツです。炒めても、スープにしても煮物にしてもおいしくいただけます。栄養素的には、1日に半パック(50~70g)くらいの量を食べるのがおすすめです。なお、サケなどもビタミンDが豊富なので、紹介したレシピ以外にこの季節はマイタケとサケのホイル焼きもおすすめですね」

日々の食事で、大流行しそうなインフルエンザから身を守ろう。

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