ア・リーグチャンピオンシップシリーズは、レンジャーズの先勝で幕を開けた。
試合の均衡を動かしたのは、レンジャーズの21歳の新人エバン・カーターだった。5番のカーターは2回表、一塁強襲の当たりで一気に二塁を陥れてチャンスメイク。直後に6番ジョナ・ハイムがセンター前にタイムリー安打を放ち、レンジャーズが先手を取る。その後、5回表にも9番レオディ・タベラスが甘く入ったスライダーを捉えて、ライトに文句なしの本塁打を放って1点を追加。
レンジャーズの第1戦先発ジョーダン・モンゴメリーには、2点は十分すぎるリードだった。
モンゴメリーは6回を投げて6三振1四球、そして無失点という完璧な内容。4回裏には二死からの3連打で満塁のピンチを背負ったが、9番マーティン・マルドナードを全4球速球の強気な配球で三振に打ち取り、窮地を脱した。
そして、今日のモンゴメリーの際立った点は、アストロズ打線で最も恐ろしい男ヨーダン・アルバレスを3三振に切って取ったということ。
第1・2打席のアルバレスとの対戦では、ゾーン内への投球数は実にゼロ。ゾーンギリギリに集めた速球でカウントを稼ぎ、最後に決め球のカーブで空振りを奪う配球が完璧にハマった。第3打席では走者なしの状況でクイックも駆使してタイミングを外しながら、速球で果敢にゾーンを突き、最後はボールゾーンに逃げるカーブで二連続空振り。
ここまでプレーオフで4戦4本塁打と、短期決戦において重要度の増す“本塁打で流れを変える力”を持つアルバレスを完璧に抑え込んだことが、今日の好投に大きく繋がった。
対するアストロズのバーランダーは、5回まで空振りわずか2つと、プレーオフ出場チームの中で最高の選球眼を持つレンジャーズ打線相手に手こずった。しかし、終わってみれば6.2回を2失点にまとめ上げた。
試合は両先発の好投で、7回終了時2対0でレンジャーズがリードする接戦に。アストロズ打線は不安の残るレンジャーズのブルペン陣を攻め立てて、試合をひっくり返したいところだったが、そのターニングポイントは8回裏に訪れた。
先頭の1番ホセ・アルトゥーベが四球で出塁、その後2番アレックス・ブレグマンがレフトへ大飛球を放ったが、レフトのカーターがジャンプしてこれを好捕。2塁を通り越してハーフウェイの位置にいた1塁ランナーのアルトゥーベは、帰塁の際に2塁ベースを踏み忘れ、これをレンジャーズがアピール。チャレンジの末にこの踏み忘れが認められ、レンジャーズは大きなダブルプレイでピンチを切り抜けた。アストロズはそのまま反撃なく、0対2で完封負けを喫した。
『MLB.com』のサラ・ラングスによれば、今年のプレーオフで両先発が6回以上投げ抜いたのはこの試合が初めて。短期決戦で早め早めの継投策に出るのは、ここ最近のプレーオフでは定石と言っていい。
お互いに72歳のダスティ・ベイカー監督、68歳のブルース・ボウチー監督の老将対決ということも影響しているのだろうか。最近のプレーオフの試合では珍しい光景となったのは間違いない。