使わない農地をマッチング HPで貸借・売買情報公開 青森・東北町

東北町農林水産課に設置しているボード
ホームページの情報を紙に印刷した一覧表と、マッチング事業をPRするチラシ

 青森県東北町は今月から、現在耕作されておらず、所有者が賃貸・売却を希望する町内の農地に関する情報を町のホームページで公開し、生産を拡大させたい農業者とのマッチングを支援する事業を始めた。町農林水産課で紙に印刷した一覧表を見ることもできる。町は耕作放棄地の解消と農地の有効活用に期待している。

 耕作されていない農地はこれまで、町農業委員会が個別にあっせんしていたという。

 マッチング事業では、農地の賃貸・売約を希望する所有者が同課で農地の情報と自らの連絡先を登録。町はウェブ上の地図システムなどを活用して所在地、面積、地目、土質、直近の作付け状況などの情報と、希望金額、貸し付け年数などの条件、現地の上空や全景、進入経路などの写真をホームページや、同課に設置したボードで公開する。

 借り受け・買い受け希望の農業者は、町に申請する。町は双方に氏名や電話番号などを知らせる。協議、契約などは当事者同士で行い、町は関与しない。

 今回の事業は、耕作放棄地対策を探っていた町若手職員が昨年、リンゴ園地継承を支援する弘前市のシステムを東奥日報で目にしたのがきっかけ。それを参考に、町内の事情に照らし合わせながら検討を重ね、今年7月には弘前市に出向き、システムの説明を受けた。

 昨年度に町が集落ごとに開いた座談会では「町内に農地がなく、六ケ所村で耕作している」「生産規模を拡大したいが、農地の確保は厳しい」などの意見が寄せられた。一方で、草刈りなどの管理はしているが、耕作できない農地や、相続したが耕作されていない農地もあるという。11日現在、登録件数は7件で、さらに2件増える見込み。

 同課の蓬畑健一郎主査は「農地に関して困っている人の役に立ち、耕作放棄地の解消と生産量アップにつながれば」と語った。

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