王族だけが飼うことができる猫種3選 それぞれの特徴や性格を解説

1.シャム

王国の名前を持つシャムはもともと自然種でした。優雅な姿から、地位と富の象徴として扱われるようになり、次第に王族以外が飼育することが禁じられるようになったのです。

一説では、600年前にはシャムだけで17種類の毛色パターンがあったそうです。

18世紀、隣国との戦争により個体数が激減してしまいましたが、その後、シャム王は外交的なつながりを強化するため、バンコクのイギリス領事館へシャム猫のペアを贈答します。

イギリス国内へ渡ったシャムは瞬く間に人気となり、ヨーロッパやアメリカのブリーダーにより血統が固定化され現在のシャムが完成しました。

三角形の頭と、顔と耳、手足、しっぽにポイントカラーが出るのが特徴的です。しなやかで細身ですが筋肉質で、スラリと細く長い脚。運動が大好きで走ることも得意です。

比較的穏やかな性格ですが、人形のように静かなわけではありません。シャム猫は高い声でよく鳴くことからおしゃべりな猫とも呼ばれています。寂しがり屋な半面、コミュニケーションが楽しい猫種です。

2.コラット

タイ北東部の最大都市ナコーンラーチャシーマーは、通称「コラート」と呼ばれます。このコラート原産の猫が、コラットです。600年前の書物にも、銀色の猫が高原地方に生息していると書かれています。

「シーサワット(幸福の猫)」と呼ばれ、身分の高い人や新婚夫婦にペアで贈る習慣が作られました。コラットという名は、シャムの王・ラーマ5世によって名付けられたといわれています。

1800年代にヨーロッパへ渡ると、ブリーダーの手によって繁殖されるようになりました。

コラットのシルバーグレーの毛色は、ロシアンブルーによく似ていますが、暑い国の出身であることからコラットはシングルコートです。毛先に行くほど明るくなり、光に当たるときらめく効果があります。体脂肪が少なく筋肉質で、ハート型の頭部と丸いグリーンの瞳が特徴です。

コラットはとても賢く、社交的でおおらかな性格です。一方、やや頑固なところがあり、それとなく自分の要求を押し通そうとするところがあります。大きな声でよく鳴く猫なのでおしゃべりを楽しみたい人に向いています。

3.カオマニー

「白い宝石」と呼ばれる猫、こちらもタイ原産の希少な自然品種です。

シャムやコラットと違い、カオマニーの登場はアユタヤ王朝陥落後からはじまります。首都がトンブリーに移ると、近くの仏教寺院にいた白い猫が宮廷で可愛がられるようになります。

この白い猫・カオマニーは王族から非常に高く評価されたため、猫を盗んだ者には死刑が科せられたほどでした。

カオマニーは、長い間タイから出ることのなかった品種です。1999年、アメリカに最初に輸入された12匹から繁殖プログラムが開始され、基礎系統を確立するようになりました。

特徴はなんといっても真っ白な被毛。生まれた時には、黒やシマの斑点がある個体もいますが、成長とともに色が薄くなり次第に消えてしまいます。ハート型の頭部に先の丸い大きな耳を持っています。瞳の色は青や緑、または金色で、オッドアイになる猫も少なくありません。

とても元気でフレンドリー、そしてシャムやコラットにまけずおしゃべり好きです。ひとりで放っておかれるのは好きではないので、留守番の少ない家庭に向いています。

まとめ

王国の名を継いだシャム、正統派自然種のコラット、そして近年ようやく名が知られてきた純白のカオマニー。これらはもともと「土着の品種」です。

数百年前には、猫の血統保存や繁殖コントロールの技術は存在せず、品種を固定化することはできませんでした。

そのため、厳密な意味での「血統種」というわけではありません。しかし、現在も存在するということは、王族の人々が何百年にもわたって愛着を持って大切に守ってきたなによりの証拠です。

現在は、登録制度と繁殖プログラムにより品種が固定化されています。そして、王族以外でも飼えるようになりました。その美しい外観と友好的な性格は、時を超えて世界中の猫好きな人々に愛されています。

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