田中希実、今季は「飛び跳ねた」笑顔で振り返る 鹿児島国体・陸上女子5000mで完勝

陸上成年女子5000メートルで優勝した兵庫の田中希実=白波スタジアム(撮影・斎藤雅志)

 陸上の成年女子5000メートル決勝。今夏の世界選手権8位の田中(兵庫・ニューバランス)は断然の優勝候補だった。「『一番の注目』と選手紹介され、光栄に思う半面、変に意識してしまった」。重圧に耐えながらの完勝だった。

 序盤から先頭に立ったが、突き放せない。最後の1000メートルを2分40秒と設定した以外は戦略が曖昧だったことに加え、詰めかけた観客の視線も重しとなり「守りの走りになった」。残り2000メートルを切って独走態勢を築いたが、目標タイムには届かなかった。

 とはいえ、新境地を切り開く1年だった。世界選手権入賞は日本勢26年ぶりの快挙。5000メートルの日本記録を2度塗り替え、従来のタイムを約23秒も縮めた。

 さまざまなレースで何度も頂点に立ってきたが、人生初の優勝は12年前の「いなみ新春万葉マラソン大会」。卯(う)年に当たり、当時の取材に「ウサギみたいにいいタイムを出したい」と語った。干支(えと)が1回りし、24歳になった田中は今季を振り返り「すごく飛び跳ねた」と笑った。(有島弘記)

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