神大2連覇時の主将・中野さん 松蔭大女子駅伝部監督と鍼灸師の〝二刀流〟

鍼灸師となり、現在は松蔭大女子駅伝部で指揮を執る中野監督=11日、厚木市内

 1998年、東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)で2連覇に貢献した神奈川大の元主将・中野幹生さん(47)は現在、松蔭大女子駅伝部の監督と鍼灸(しんきゅう)師を両立する“二刀流”で活動している。目下、創部初となる年末の全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)の出場が大きな目標だ。学生駅伝最高峰の舞台をきっかけに脚光を浴び、一世を風靡(ふうび)した選手たちが歩んだその後の人生とは-。

 和歌山県出身の中野さんには、神大4年時に「花の2区」を走り、現在は母校でコーチとして指導する3学年上の兄・剛さんがいる。「兄貴の時から目立ち始めたチームで、新しい歴史をつくりたかった」と自身も背中を追って越境。大学卒業後は当時の強豪実業団の雪印に進むも、予想だにせず廃部となった。その後は兄が所属していた佐川急便(現SGホールディングス)に移籍し、選手として計7年間競技を続けた。

 選手時代は常にけがに悩まされた中野さん。箱根路2連覇の主将を支えたのは、治療や相談に乗ってくれたある鍼灸師の存在だった。腰や足にばんそうこうサイズのテーピングを張るだけで痛みが消えるのが、不思議だったという。

 「痛い患部をただ治療するのではなく、体の動きの中で癖が出ているから痛むことを教えてくれた。ちゃんと裏付けがあって、すごい世界だなと思った」

© 株式会社神奈川新聞社