全国初、避難支援者の車に保険 茨城・常陸太田市 あいおい損保と協定

包括連携協定書を交わしたあいおいニッセイ同和損害保険茨城支店の河上精二支店長(右)と宮田達夫市長=常陸太田市金井町

茨城県常陸太田市は、あいおいニッセイ同和損害保険茨城支店(水戸市)と協力し、災害時に避難行動支援者が自家用車などを使って要支援者を避難所に運ぶ際の事故に関し、保険を設ける。16日、両者は同保険の設定を含む包括連携協定を締結した。保険は市内の避難行動支援者が対象で、2024年4月から実施する。同社によると、自治体が同様の保険契約を結ぶのは全国で初めてという。

保険の名称は「避難行動支援者向け自動車等保険」。自力避難の難しい高齢者や障害者などの要支援者を、地元住民の担う避難行動支援者が災害時に自身の車両に乗せて避難し事故が起きた場合、支援者の保険ではなく市加入の保険で対応する。支援者の負担を軽減する狙いがある。市の要望に同社が対応した。

市は要支援者の避難体制を整備しようと、20年から要支援者名簿の作成に乗り出した。22年10月には名簿を活用した避難訓練を実施している。8月末現在、市内の要支援者は1049人で、避難行動支援者が1191人。

「包括連携協定が地域課題の解決に一歩でも近づければ」と河上精二支店長。宮田達夫市長は「安全安心なまちづくりの根幹のマンパワーをしっかりとバックアップしてくれる保険で、支援者が安心して活動できるようになるのはうれしい」と期待した。

協定には同保険のほか、安心・安全な暮らしの確保▽環境保全・SDGs▽文化・スポーツ▽子育て・教育▽産業-などの分野での連携協力が盛り込まれている。

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