福井県が11月からパートナーシップ宣誓制度を導入 性的少数者カップルを公的に認め不利益軽減

宣誓により受けられるサービス

 福井県は11月1日から、性的少数者(LGBTQなど)の同性カップルなどの関係を公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入すると発表した。宣誓書を提出し受領証の交付を受ければ、県営住宅への入居や携帯電話の家族割引といった行政、民間サービスが利用できる。同制度は敦賀、小浜、坂井、永平寺の4市町も11月から導入する。

 杉本達治知事は10月16日の定例会見で、同制度を導入する意義について「性的マイノリティーのカップルの不利益を軽減していくという考え。互いに尊重し合う共生社会の実現に向け、県民の理解も促進していきたい」と話した。

 宣誓するカップルは18歳以上で、どちらかが福井県内に居住または転入予定であることなどの要件を満たす必要がある。福井市のアオッサ内の県人権センターに宣誓書と本人確認書類などを提出すると、受領証が即日無料で交付される。提出には事前予約が必要で、来月1日から受け付ける。

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 受領証の提示で受けられる行政サービスは、県営住宅への入居のほか、福井県立病院での面会、障害者の通院などに使う車の自動車税の減免措置。民間サービスは、生命保険金の受取人の指定、自動車保険の割引などがある。軽費老人ホームの利用料減額など既に受けられる19の行政サービスについては、受領証の提示で手続きを円滑化できる。

 パートナーシップ宣誓制度は16都府県が既に制度化している。福井県内では越前、勝山、鯖江、あわらの4市が導入済みで、11月導入の県と4市町のほか、福井市、大野市も導入を予定している。導入している市町では、県か市町かどちらかの受領証を提示すれば、各種サービスを利用できる。

 ゲイ(男性の同性愛者)でユーチューバーのかずえちゃん(福井市)は「県として制度を導入することは本当にうれしい。これがゴールではなく、当事者が安心して窓口で手続きできる社会を目指すべき。県民全体として『LGBTQがいて当たり前』という意識を醸成していく必要がある」と話している。

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