オペラ『こうもり』年末は華やかに、新国立劇場で!

『こうもり』はワルツ王ヨハン・シュトラウスII世が作曲した最高に素敵なオペレッタ。
心躍る有名な序曲からシュトラウスの軽やかな音 楽が続き、美しいワルツやポルカにのせてユーモアいっぱいの喜劇が繰り広げられる。新国立劇場の『こうもり』はクリムトの絵か ら飛び出したようなアール・デコ調の華やかな美術・衣裳も大きな見どころ。目に耳にウィーン洗練の美と洒落た風刺が続く『こうもり』は、まさに大人のためのエンターテインメント。

次々に繰り出される 美しいワルツやポルカ、小粋な風刺やユーモアが観客の心を高揚させ、大団円を迎える頃に は劇場じゅうが幸福な空気に包まれる、最高の音楽劇。華と笑いがいっぱいで、ウィーン 年末年始の風物詩としてもおなじみ。 『こうもり』には陽気で軽妙な応酬、素朴な愛があふれる一方で、人生の浮き沈みに対するほろ苦い哲学も込められ、その深みがいっそう観客の共感を呼ぶ。『こうもり』が作曲された当時のウィーンの町はウィーン万国博覧会に沸く一方でコレラの流行と株の大暴落に見舞われていた。

舞踏会で人々が唱和する「みな兄弟姉妹となろう」という共生のメッセージは、世界情勢に不安を覚える現在の観客の心にもひと際深く染みるはず。
美しい音楽が満載で幸福感のあふれる『こうもり』は、オペラ初心者の方やご家族連れにもお薦め。オペラファンお待ち兼ねの楽しくてエレガントなオペレッタ、劇場ならではの豊かなひとときを。

『こうもり』の演出はウィーン宮廷歌手の名テノール、ハインツ・ツェドニク。2006年新国立劇場でのこの演出でツェドニクは演出家デビュー、この後、翌年のウィーン・フォルクス オーパー『こうもり』などの演出を手がけた。ウィーン出身で『こうもり』の四役をレパートリーとする名テノール歌手ツェドニクは、ウィーン気質が身体の隅々まで沁み込んでおり、小粋でエレガント、洒脱な仕掛けがたくさん用意された正統的な演出は、『こうもり』の魅力を余すところなく伝える。 ツェドニク演出の『こうもり』は、アール・デコ調の華やかな舞台美術・衣裳も大きな見どころ。舞台の縁を飾る市松模様、背景を優雅に彩る植物のモチーフなど、舞台はアール・デコの感覚で統一してデザインされ、照明の効果で刻々と表情を変えていく。金色に輝く幾何学模様や、日本の美感を取り入れた優雅で官能的なラインの衣裳など、クリムトを彷彿させるデザインも盛りだくさん。
オーストリア出身でジャズピアノなど多才ぶりを発揮する若手指揮者パトリック・ハーンが新国立劇場初登場。アイゼンシュタインに温 かな声と抜群の感性で評価されるマクガヴァン、ロザリンデにはウィーンで学びウィーン、ベルリン、ブリュッセルなどで活躍するソプラノのマルグエッレ、アデーレにスウェーデンの誇る歌姫シェシュティン・アヴェモとフレッシュなキャストが華やかに揃った。アルフレードには日本のトップテノールの一角に躍り出た伊藤達人が出演。

<新国立劇場『こうもり』ダイジェスト映像>

あらすじ
ウィーン郊外。 アイゼンシュタインは顧問弁護士の不手際で禁固刑を受 け大憤慨。 しかし、悪友ファルケに誘われ、妻ロザリンデには「刑務所へ 出頭する」と偽り、変装してオルロフスキー公爵邸の夜会へ。 そこで仮面 の美女を妻と気づかず口説く。 翌朝、刑務所に出頭したアイゼンシュタインは駆けつけた妻の浮気を疑うが、 自分の浮気がばれて逆にやり込め られる。 そこへ、この茶番劇の仕掛人ファルケが現れ、 「すべてはシャンパンのいたずら!」と大団円を迎える。

概要
日程・会場:2023年12月6日(水)、9日(土)、10日(日)、12日(火) オペラパレス
※予定上演時間 約3時間(休憩含む)
指揮:パトリック・ハーン
演出:ハインツ・ツェドニク
美術・衣裳:オラフ・ツォンベック
振付:マリア・ルイーズ・ヤスカ
照明:立田雄士
再演演出:澤田康子
再演振付:石井清子
舞台監督:髙橋尚史
キャスト
ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン:ジョナサン・マクガヴァン
ロザリンデ:エレオノーレ・マルグエッレ
フランク:ヘンリー・ワディントン
オルロフスキー公爵:タマラ・グーラ
アルフレード:伊藤達人
ファルケ博士:トーマス・タツル
アデーレ:シェシュティン・アヴェモ
ブリント博士:青地英幸
フロッシュ:ホルスト・ラムネク
イーダ:伊藤 晴
合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
バレエ:東京シティ・バレエ団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
芸術監督:大野和士

公演情報WEBサイト:https://www.nntt.jac.go.jp/opera/diefledermaus/

舞台写真撮影:寺司正彦(新国立劇場『こうもり』2018年公演より)

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