吉田屋(青森・八戸市)の駅弁食中毒、米飯が原因か 保健所が公表 高温で納入、菌増殖

 青森県八戸市の駅弁製造・販売業「吉田屋」(吉田広城社長)の駅弁による食中毒で、八戸市保健所は16日、食中毒の原因を公表した。原因特定には至らなかったものの、米飯の製造を委託した岩手県の業者から注文より高い温度の米飯を受け入れたため、食中毒を起こした菌が増殖した可能性があると推定。吉田屋の米飯の管理が不適切だったとの見方を示した。

 同保健所は同日午前、吉田屋に改善を指導した。午後に会見した石井敦子副所長は「(吉田社長から)『大変重く受け止めている。今後、再発防止に向けた改善に真摯(しんし)に取り組む』との言葉をもらった」と述べた。

 同保健所によると、食中毒は吉田屋が9月15、16日に製造した駅弁21種類で発生。吉田屋と岩手県の委託業者が検査用に保存していた食品310点の調査の結果、吉田屋の茶飯2点から黄色ブドウ球菌、茶飯1点と具材3点(サケフレーク、ミブナの漬物、キムチ)からセレウス菌が検出された。委託業者の保存食から菌は検出されなかった。

 同保健所は、委託製造した米飯の受け入れに対し吉田屋は「検査の手続きや受け入れ基準を定めていなかった」と指摘。さらに(1)委託した米飯の外箱を殺菌せずに盛り付け室に搬入(2)予定外の作業の製造記録が残っていない(3)臨時従業員の健康状態の記録が残っていない-との問題点を挙げた。

 吉田屋の商品回収の連絡が一部販売店に届かず、16日に製造した駅弁の一部3368個が販売されたことも被害拡大の一因とした。

 石井副所長は「外部の委託業者から米飯を受け入れる際にどんなリスクがあるのかをきちんと確認していなかったことが大きな要因」との見解を述べた。

 今回の食中毒では、全国の小売店の駅弁フェアなどで吉田屋の商品を購入した29都道府県の521人が嘔吐(おうと)や吐き気などの症状を訴えた。八戸市保健所は9月23日に食中毒と断定し、同社を営業禁止処分に。同社が改善報告書を提出し、安全性が確保されたと判断されれば、同保健所は禁止を解除する。

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